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評価:
恩田 陸
晶文社
¥ 1,995
(2010-08-07)
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恩田さんが映画や小説、漫画についていろいろと語っているのをまとめたエッセイ集。小説についての文章には、その作品の解説文として書かれたものもあって、ひとまとめにして読めたのはいいんだけど既読のものも多かったので、なんとなく今まで聞いてきた恩田さんのそれらに対する思いをもう一度聞かされたような感じ。それが良いか悪いかではなく、再度「ああ、やはりそういうのがお好きなのですね」と確認したような読書でした。
読んでいて「うんうん。そうそう」と頷いてしまったのは、物語には「おはなしの神様」というのが居て、その神様の宿っている作品はどんなに粗が目立とうがツッコミどころがあろうが、有無を言わせぬ物語の力でこちらをぐいぐい連れて行ってくれるという話。ほんと、そういう作品たまにありますよね。それに出会いたくて本を読んだり映画を見たりしてるようなもんです。
それと、三島由紀夫の作品やミステリはケレンと様式美を楽しむのだ、という話。これも大いに同意しながら読みました。名探偵は皆を集めて「さて…」と言ってほしい。三島由紀夫には絢爛たる美々しい文章で酔わせてほしい。歌舞伎で見得を切るように。読んでいるこちらはいつだって「よっ!」と気持ちよく掛け声をかけたいのです。
それにしても、恩田さんは相変わらず印象的なタイトルをつけますね。
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