* スポンサーサイト
一定期間更新がないため広告を表示しています
2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
「諸君諸君、また会おう!」
ただ明智の方は、髪の毛がもっと長く延びていて、モジャモジャともつれ合っている。そして、彼は人と話している間にもよく、指で、そのモジャモジャになっている髪の毛を、更らにモジャモジャにする為の様に引掻廻すのが癖だ。服装などは一向構わぬ方らしく、いつも木綿の着物に、よれよれの兵児帯を締めている。(本文より)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫) | |
江戸川 乱歩 光文社 2004-07-14 売り上げランキング : 84185 おすすめ平均 もしかしたら ここに逆転の発想が・・ ミステリー界の巨匠の初期短編集 『人間椅子』が一番面白かった。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
兄はしめつけられながらも、敵の正体を見極めようと、首をうしろへ捲じ向け相にしました。私は渾身の力でそれを妨げましたけれど、瀕死の彼の首は非常に強いゼンマイ仕掛けでもあるかの様に、じりじりと私の方へ捲じ向いて来るのでした。(本文より)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫) | |
江戸川 乱歩 おすすめ平均 もしかしたら ここに逆転の発想が・・ ミステリー界の巨匠の初期短編集 『人間椅子』が一番面白かった。 まさに全集 乱歩初期の傑作群 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
二人はそうしたまま長い間対座していた。冬の日は暮るるに早く、障子の日影も薄れて、部屋の中にはうそ寒い空気が漂い出していた。(本文より)
北川氏の歓喜は勝利の悲哀に転ずる一刹那前のクライマックスに達していた。
彼は今、歩きつづけながらベースボールの応援者達が、「フレー、フレー、何とかあ」と喚いて躍り上る時の様に、躍り上った。そして、気違いの様に涎を垂らしながら、ゲラゲラと笑った。夥しい汗が、シャツを通して、薩摩上布の腰のあたりをべっとりと湿していた。真赤に充血した顔からは、ぽとりぽとりと汗の雫が垂れていた。(本文より)
モボ・モガを父母として生まれてきた江川蘭子は、まだ物心もつかない二歳のとき、その両親を殺人事件の被害者として突如として失い、しかもその血みどろの惨劇の現場に放置されるという異常な状況の中に置かれたことから、その精神構造への影響が心配された……。世間はこの乱脈を極めた生活者である被害者に同情を寄せず、また犯人を挙げられない警察の無能を罵る者もなかった。が、蘭子は後年、みずから父母の仇討ちを目論んだ。「新青年」昭和五年九月号から六年二月号まで、江戸川乱歩の発端から横溝正史・甲賀三郎・大下宇陀児・夢野久作・森下雨村と書き継がれた合作探偵小説「江川蘭子」。――妖艶江川蘭子の魔性の生涯に、血みどろの夢はいかに叶えられるか……。
|
凡てが、暗黒である。凡てが、陰湿である。その暗黒と陰湿の中に、眼ばかり物凄く光る青白い女の幻想、幾十日幾百日の幻想、その幻想の実現、私は思わずもゾッとしたのである。(本文より)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 江戸川 乱歩 光文社 2004-07-14 売り上げランキング : 9681 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「あの泥坊が羨しい」二人の間にこんな言葉が交わされる程、其頃は窮迫していた。(本文冒頭より)
私はこの喜びがいつまでも続けかしと願った。松村の為にそれを願った。(本文より)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 江戸川 乱歩 光文社 2004-07-14 売り上げランキング : 9681 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |