* スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『僕たちの好きな怪人二十面相 [別冊宝島] (別冊宝島 1587)』
「諸君諸君、また会おう!」

 二十面相研究としても面白い一冊。アジト一覧、変装・かぶりもの一覧、逃走手段一覧、狙われたお宝一覧などなど、データベースも充実してます。こうしてみると、あらためて乱歩はアイディアマンだと思いますね。
 「二十面相ワールドの名セリフ&迷セリフ15選」や各記事に添えられている田川秀樹のイラストによるツッコミ、それと巻末にある清涼院流水氏の書き下ろし小説も面白かったです。

【内容】
 ・21世紀の銀幕に怪人二十面相が復活!!
  『K-20 怪人二十面相・伝』
 ・綾辻行人 スペシャルインタビュー
  テレビ・映画で怪人二十面相を演じた怪優たち
 ・弥生美術館収蔵品による 怪人二十面相ビブリオグラフィ

 第一章 怪人二十面相大研究!
 ・登場キャラクター紹介
 ・二十面相の秘密兵器
 ・七つ道具で戦うぞ!!・・・ほか

 第二章 怪人二十面相と江戸川乱歩
 ・江戸川乱歩の生涯と探偵小説
 ・江戸川乱歩生誕の地 三重県名張をゆく
 ・発禁?「江戸川乱歩全集 恐怖奇形映像」・・・ほか
 ・予告状、手口、アジト、仲間、女、逃走手段・・・・・・
 ・怪人二十面相と江戸川乱歩の正体をめぐる7つのキーワード
 ・特報 映画『K-20 怪人二十面相・伝』最新情報
 ・全予告状、全手口、全逃走手段、全変装、全手下、全メカ、全ターゲット・・・
 ・怪人二十面相と乱歩の真実に迫る徹底考察!
 ・乱歩封印映像の世界

 巻末付録
 ・怪人二十面相登場作品完全解説!

 特別書き下ろしトリビュート大説
 ・清涼院流水「20面相09」

にほんブログ村 本ブログへ
【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集
JUGEMテーマ:読書
2009.01.09 Friday * 23:44 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 「D坂の殺人事件」江戸川乱歩
 ただ明智の方は、髪の毛がもっと長く延びていて、モジャモジャともつれ合っている。そして、彼は人と話している間にもよく、指で、そのモジャモジャになっている髪の毛を、更らにモジャモジャにする為の様に引掻廻すのが癖だ。服装などは一向構わぬ方らしく、いつも木綿の着物に、よれよれの兵児帯を締めている。(本文より)

 記念すべき明智小五郎の初登場作品。しかし、彼の容姿やその癖は後発の金田一耕助にそっくりです。ここではまだ探偵という職業を始めておらず、定職を持たない遊民に見える風変わりな青年でしかありません。数作後に洋行から帰ってくると、今私たちがイメージする姿に近い明智になるんですよね。

 古本屋の細君が殺害され、その犯人らしき人物を同時に見たはずのふたりの目撃者の証言が、ひとりは「黒地の着物を着ていた」といい、もうひとりは「白地の着物を着ていた」と食い違う。それはなぜなのか。そして犯人は、客や往来を行き来する人々の目をいかにかいくぐって古本屋内部に侵入し、いかに逃亡したのか。

 「柔か相な本の上へでも坐って下さい」というほど本に占領されている部屋に住んでいて、人間研究の名のもとにぷらぷらしている明智と、その知り合いである「私」が出会った蒸し暑い夜の出来事。
 この「蒸し暑い晩」という設定が、事件の真相がすべてわかった後、情景を想像するときに非常に生々しいものを読むものに感じさせる一助になっていて、こういうところが乱歩は上手いなあといつも思います。爽やかな風の吹く避暑地でもなければ、雪の舞い落ちる冬でもない。蒸し暑く、下町のざわめきに包まれ、人々の生活臭に満ちた長屋での事件だからいいのです。
 昔の日本家屋では密室というものがなかなか出来上がりにくいといわれますが、これは鍵やら窓やらの物質的なものではなく、衆人環視という状況が生んだ心理的密室ですね。

 推理披露のシーンが山場であり、読んでいてもやはりそこが一番面白いですね。目撃証言による犯人の着物の相違や古本屋の格子戸などが、「D坂」といえばこれというくらい有名で、それが頭の中に深く刻まれていて、何度再読してもその場面がくると妙にわくわくしてしまう(笑)
 といってもこの話の肝は、次の「心理試験」という短編にも引き継がれていく、人間心理についてのあれやこれやであり、ふたつ出てくる推理のうち、はじめのほうでなくもうひとつのほうを事件の真相とするところが乱歩らしいです。

【作中で犯人やトリックのネタバレがされている作品】
 ・エドガー・アラン・ポオ「モルグ街の殺人」
 ・コナン・ドイル「まだらの紐」

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)江戸川 乱歩

光文社 2004-07-14
売り上げランキング : 84185

おすすめ平均 star
starもしかしたら ここに逆転の発想が・・
starミステリー界の巨匠の初期短編集
star『人間椅子』が一番面白かった。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ
JUGEMテーマ:ミステリ
2008.01.09 Wednesday * 22:13 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 「双生児―ある死刑囚が教誨師にうちあけた話―」江戸川乱歩
 兄はしめつけられながらも、敵の正体を見極めようと、首をうしろへ捲じ向け相にしました。私は渾身の力でそれを妨げましたけれど、瀕死の彼の首は非常に強いゼンマイ仕掛けでもあるかの様に、じりじりと私の方へ捲じ向いて来るのでした。(本文より)

 ある死刑囚が教誨師に向かって話した、兄殺しの懺悔話。双生児として生まれた男が兄を羨み殺害を企てた。その事件事態は露見しなかったものの、更に手を染めた犯罪から男は死刑囚になってしまう。

 この話で一番印象的なのは、弟が兄を殺害するときの描写です。服装も姿かたちもまったく同じ二人の男が揉みあっている。そして加害者と寸分違わぬ被害者の顔が、首を絞められながらもぐるーっと振り向くその情景の異様さ、怖ろしさ。自分で自分を絞め殺すような錯覚。それは、兄を殺すことで弟である自分の人生を抹殺する、被害者になりかわろうとする加害者の心理を暗示的に描写しているようにも思えます。
 男がその後の犯罪で逮捕されることになるとある手抜かりに対する驚きよりも、この場面ばかりがやけに心に残ります。

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)江戸川 乱歩

おすすめ平均
starsもしかしたら ここに逆転の発想が・・
starsミステリー界の巨匠の初期短編集
stars『人間椅子』が一番面白かった。
starsまさに全集
stars乱歩初期の傑作群

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

にほんブログ村 本ブログへ
JUGEMテーマ:ミステリ
2008.01.07 Monday * 21:19 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 「二廢人」江戸川乱歩
 今日は乱歩の命日なので、墓参代わりに乱歩を読みました。
 二人はそうしたまま長い間対座していた。冬の日は暮るるに早く、障子の日影も薄れて、部屋の中にはうそ寒い空気が漂い出していた。(本文より)

 湯治場でなにげなく始まった世間話。戦争により見るも無残な傷跡を顔面に持つ斎藤と、夢遊病のせいで人を殺めた過去を持つ井原。ふたりの世間話はやがて懐旧談へと移行した。しかしそれが過去の事件の真相を暴く結果になろうとは――。

 井原はあまりに物事を信じ過ぎ、そして暗示にかかりやす過ぎる。もうちょっと疑えよ、と背中をどやしつけたくなるタイプ。お坊ちゃまだからしょうがないのかなあ。その素直さで人生を棒に振った悔しさを諦め、これからも廃人としての暮らしを続けていくのだろうか。
 話の内容ももちろん、被害者が加害者に対して賛美の念を抱くというところが、妙に私のツボに嵌ります。どこがどう優れているというわけじゃないんだけど、穏やかな会話のやり取りの中から明かされる真相と、それを明かした人間の心情や明かされた人間の気持ちを想像すると、とても心に残る。ううん、好きだなあ。静かな温泉場での情景も印象的。

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収
2007.07.28 Saturday * 19:30 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 「恐ろしき錯誤」江戸川乱歩
 北川氏の歓喜は勝利の悲哀に転ずる一刹那前のクライマックスに達していた。
 彼は今、歩きつづけながらベースボールの応援者達が、「フレー、フレー、何とかあ」と喚いて躍り上る時の様に、躍り上った。そして、気違いの様に涎を垂らしながら、ゲラゲラと笑った。夥しい汗が、シャツを通して、薩摩上布の腰のあたりをべっとりと湿していた。真赤に充血した顔からは、ぽとりぽとりと汗の雫が垂れていた。(本文より)

 北川氏は愛妻を火事で亡くした。仕事にも行かず、家で泣き暮らしていた彼だが、友人から火事当日の話を聞いて、妻がある男によって謀殺されたのではないかと思うようになる。そしてとうとう復讐を決行するためにその男のもとを訪ねるのだが……。

 北川の異様な歓喜ぶりに「うわあ、こいつなんか怖い」と目が釘付け。乱歩はこういうイッちゃった人間や、なにかに異様に固執する人間を書くのが上手いですね。夏のじりじりした暑さと相まって、北川の尋常でない様子が終始鬱陶しくまとわりつく。彼の長談義を読んでいるうちにその妄執にひきずりこまれそう。ただもう北川という男のキャラクターに圧倒されます。
 復讐するのにそんなまわりくどい方法をとらんでも、と思わなくもないのですが、こういうやり方を好むところが彼の性質をよく表してるのでしょうがない。即実行断罪するのではなく、相手の顔色を窺いながらじわじわと楽しむようなところがね。そのくせ詰めが甘いんだよ、北川! 練りに練った計画が……、ああもう。
 結局、真相はどっちなのでしょう。犯人は誰なのか。そして本当に夫人は謀殺されたのか。私はなんだか夫人が自殺したようにも思えるんですが。
 まあ、何事もあんまり思い詰めないほうがいいですよ。

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収
2007.04.21 Saturday * 00:05 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(1)
* 『江川蘭子』江戸川乱歩,甲賀三郎,夢野久作,横溝正史,大下宇陀児,森下雨村
 モボ・モガを父母として生まれてきた江川蘭子は、まだ物心もつかない二歳のとき、その両親を殺人事件の被害者として突如として失い、しかもその血みどろの惨劇の現場に放置されるという異常な状況の中に置かれたことから、その精神構造への影響が心配された……。世間はこの乱脈を極めた生活者である被害者に同情を寄せず、また犯人を挙げられない警察の無能を罵る者もなかった。が、蘭子は後年、みずから父母の仇討ちを目論んだ。「新青年」昭和五年九月号から六年二月号まで、江戸川乱歩の発端から横溝正史・甲賀三郎・大下宇陀児・夢野久作・森下雨村と書き継がれた合作探偵小説「江川蘭子」。――妖艶江川蘭子の魔性の生涯に、血みどろの夢はいかに叶えられるか……。

 いやあ、豪華な面子ですねえ。乱歩に横溝、夢野や甲賀三郎などなど、当時の第一線作家たちの合作リレー連作探偵小説です。書いている順番は、
■江戸川乱歩「発端」(「赤き泉」「軽業師」「眠り薬」)
   ↓
■横溝正史「絞首台」(「蘭子の倦怠」「モダン・サロメ」「あざみの花」「陰気な一家」「死刑執行人」)
   ↓
■甲賀三郎「波に躍る魔女」(「狂った混血児」「幽霊屋敷」「黄死病」「波に躍る美女」「奇怪な手紙」)
   ↓
■大下宇陀児「砂丘の怪人」(「妙子失踪」「犠牲者の首」「伝右衛門の秘密」「砂丘の怪人」)
   ↓
■夢野久作「悪魔以上」
   ↓
■森下雨村「天翔ける魔女」

 乱歩はもともと魅力的な設定や謎を提示するのが上手くて、その大風呂敷を畳むのが不得手なところがあるので、トップバッターとしてはそりゃもうぞくぞくするような冒頭シーンを展開してくれます。惨殺死体となった両親の血の池の中で、何も知らずに無邪気に遊ぶ赤ん坊、なんて印象的な幕明けでしょう。
 とはいえ、なんの打ち合わせもせずに各々好きなように書き、「じゃ、次お願い」と回すわけですから、話そのものは迷走気味(笑)。後のほうの書き手は苦心惨憺。読んでいてもそこらへんはよくわかります。森下雨村は頑張った!

 盛り上げるだけ盛り上げて独自の妖しい雰囲気を振りまいた乱歩、それを引き継いで「あざみの花」や「城山一家」などの伏線を張った横溝、前者ふたりの作風に戸惑いながらもなんとか本格物として成立させようと謎を提示した甲賀三郎、物語の側面にスポットライトを当てて上手くかわした大下宇陀兒、そんな中で天上天下唯我独尊どこまでも自分の道を突っ走りアンカーでもないのにあちこち解決しちゃったり好みのものをどどーんと出しちゃう夢野久作、多分夢野の展開に呆然としたであろうになんとかまとめようまとめようと頑張りながらも玉砕した感が泣ける森下雨村。

 整合性とか出来不出来を云々するのではなく、「あらら、あららら」と話がどこへ行ってしまうのかを楽しむのが一番いい読み方かも。

Amazonでは書影が出ないので、自分のやつの画像をアップしておきます。参考までに。
評価:
江戸川 乱歩,甲賀 三郎,夢野 久作,横溝 正史,大下 宇陀児,森下 雨村
春陽堂書店
---
(1993-10)
2007.03.08 Thursday * 18:23 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『一枚の切符』江戸川乱歩
■あらすじ■
 まだ薄暗い暁の静寂を破って、ひとりの夫人が轢死した。亡くなったのは著名な富田博士の令夫人。懐中から出てきた書置きで自殺と見られていたが、ひとりの敏腕刑事によって夫の富田博士その人が夫人殺害の犯人として検挙される。
 しかし左右田五郎はその解決に疑問を持ち、やがて彼だけが知りえる証拠の品による推理を新聞へ寄書するのだが……。

■感想■
 凡てが、暗黒である。凡てが、陰湿である。その暗黒と陰湿の中に、眼ばかり物凄く光る青白い女の幻想、幾十日幾百日の幻想、その幻想の実現、私は思わずもゾッとしたのである。(本文より)

 デビュー作「二銭銅貨」と同時期に書かれて、一緒に森下雨村のもとへ送られた一編。
 左右田が新聞社に投稿した記事のその後の会話を入れたことで、じんわりと後味の悪い話になっている。初期の乱歩作品って、こういう風に最後の最後で疑問を投げかけてくるのが結構ある。読者を不安にさせるというか。でも結末を知ってからもう一度読み返すと、ちゃんとある人物の描写のところでそういうことをやりそうな人間として書かれてるんですよね。言動とか雰囲気とか。
 私には、左右田の推理よりも黒田刑事の推理のほうがしっくりくるなあ。左右田め、黒田刑事が可哀相じゃないか。
 富田博士についての描写がほとんどないので、彼が夫人殺害を企てるような人物か否か、読んでいる私にはいまひとつ想像がつかなかった。状況はわかるんですけどね。けど、それは新聞記事でしか事件を知りえない、この話の中の聞き手役の人物も同じでしょう。ということは、最後の一文で書かれている「よく呑込めないらしい相手の顔」というのは、私のことでもあるのかもしれません。

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者
江戸川 乱歩

光文社 2004-07-14
売り上げランキング : 9681
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
2007.01.14 Sunday * 23:52 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『二銭銅貨』江戸川乱歩
 私は乱歩をこよなく愛しています。
 そして毎年、年の初めは乱歩を読むと決めています。
 そんなわけでカテゴリーに乱歩を独立させてみました。

■あらすじ■
 五万円の大金を盗んだ泥棒が、その金の隠し場所を白状せぬまま監獄に送られたという事件が世間を賑わせていた頃。「私」と同居人の松村武は窮乏のどん底にいた。
 ある日「私」が何気なく机の上に置いておいた二銭銅貨を、松村は妙な熱心さでもって眺めていたかと思うと、ひとり机に向かい何かを熱心に研究し始めた。そして「私」から十円札を借りるとプイとどこかへ出かけ、風呂敷包を背負って帰ってきてこう言うのだ。
「この風呂敷包の中には、君、五万円という金が這入っているのだよ」

■感想■
 「あの泥坊が羨しい」二人の間にこんな言葉が交わされる程、其頃は窮迫していた。(本文冒頭より)

 この冒頭文と暗号に隠されていたある言葉がとても有名な、乱歩のデビュー作。乱歩の代表作にも挙げられる話だけど、一般にはどうなんでしょ。乱歩ファンやミステリファン以外からは聞かないんだけど。
 暗号解読ものですが、安心しきって「ほうほう、なるほど」と読み進めているとラストで「えいやっ」と投げ飛ばされます。「いやそんな、それじゃ可哀相じゃないのよ」などと私は思いました。だって、松村なあ、ツライよなあ。得意満面だったときとその後の落差が見てらんない。何度読んでも松村に同情してしまう。
 私はこの喜びがいつまでも続けかしと願った。松村の為にそれを願った。(本文より)

 この文章がねえ、後になって読み返してみると、とても皮肉なものに見えてくるんですよ。あいたたた。乱歩ってば、なにげない顔して隠し針を置いてたな。その後どうなったのか気になるところです。私が松村だったら許せないだろうなあ。
 それにしても暗号ものっていいですね。わくわくします。この話は、わくわくを充分楽しんだ後に更に一捻りあってびっくりさせてくれる。「やられたっ」て快感があります。

■出版社■
 光文社文庫 『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』所収

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者
江戸川 乱歩

光文社 2004-07-14
売り上げランキング : 9681
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
2007.01.12 Friday * 23:52 | 江戸川乱歩 | comments(0) | trackbacks(0)

| 1/1Pages |