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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
人は、獣は、この世に満ちるあらゆる生き物は、ほかの生き物を信じることができない。心のどこかに、常に、ほかの生き物に対する恐怖を抱えている。
(中略)
武力で、法で、戒律で、そして、音無し笛で、互いを縛り合ってようやく、わたしたちは安堵するのだ……。(本文より)
「エリン、おかあさんがこれからすることを、けっしてまねしてはいけないよ。おかあさんは、大罪を犯すのだから」(本文より)
「……シュガ」
「はい。」
「わたしは、あやうい皇太子だな。」
シュガが、意味をはかるように眉をあげた。
「ときに自分がおさえられなくなる。神聖なるヨゴの皇太子としては、あまりにもあやうい性格をしているな。」(本文より)
……人はね、生きるのに理由を必要とする、ふしぎな生き物なんだよ。
鳥も獣も虫も、生きていることを思い悩みはしないのにね。ときに、人は、悩んだすえに、自分を殺してしまうことさえある。(本文より)
からだについた傷は、ときがたてばいえる。だが、心の底についた傷は、わすれようとすればするほど、ふかくなっていくものだ。
それをいやす方法はただひとつ。
きちんと、その傷をみつめるしかない。(本文より)
100年に一度卵を産む精霊<水の守り手ニュンガ・ロ・イム>に卵を産みつけられ、<精霊の守り人>としての運命を背負わされた新ヨゴ皇国の第二王子チャグム。母妃からチャグムを託された女用心棒バルサは、チャグムに憑いたモノを疎ましく思う父王と、チャグムの身体の中にある卵を食らおうと狙う幻獣ラルンガ、ふたつの死の手から彼を守って逃げることになるのだが……
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