"ひきこもり"作家3人の脱力ダメダメ旅行記!
自称"ひきこもり"の若手作家3人が、何を思ったかトルコへ行ってきました。無気力脱力行きあたりばったりの生活信条そのままに綴られる「まったく役に立たない」トルコ珍道中記。(出版社 / 著者からの内容紹介より)
元はWEBに連載されていたものということで、メイン著者の定金さんの記事に乙一さんと松原真琴さんがコメント形式でツッコミを入れてます。WEBならコメントが記事の下にずらずら〜っと続くんで違和感ないんでしょうが、本で見開き左頁に本文、右頁にツッコミと分かれていて、文中に番号が振ってある箇所のツッコミを右側から探すというのはかなり疲れる作業でした。横組みだし。いつもの何倍もかかって読み進みましたよ……。
でも内容は面白いです。いや、面白いっていうか、だらだらしていてダメダメで、そのダメ具合が炬燵でまったり読むぶんにはちょうど良かったというか。お正月特番を見ながら読んでいて、途中でテレビに目を奪われようが、家族とみかんを食べようが、いつでも再開オーケーなお気楽本でした。
定金さんに対する乙一さんの数々の暴言&名(迷)言は、おふたりの仲の良さが伝わってきます。「ダメ人間ですね」とか「そこでなにか勘違いしちゃったんですね」とか。それになんだかこのほのぼのだるだるした感じが、いかにも「トルコの見所伝えます!」的な旅行記とは完全に違っていて、妙な親近感が湧いたり。そんなふたりにはさまれた松原さんがこの本の良心に思えました(笑)
ごちゃごちゃしている雑多な紙面は、例えて言うなら、少年ジャンプをマンガだけでなく編集者の脚注や巻末にある漫画家さんたちのコメントまで読むような人には、逆に読み応えがあっていいかもしれませんね。私はいつもジャンプの隅から隅まで読んでます(笑)
あ、そうそう。
巻末に袋とじ短編「毒殺天使」(乙一・著)がついてます。毒殺を企てる少女の話ですが、乙一さんらしくどこかファンタジックなお話でした。ちょっぴりせつない。