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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『鷺と雪』北村薫
評価:
北村 薫
文藝春秋
¥ 1,470
(2009-04)
「前を行く者は多くの場合――慙愧の念と共に、その思いを噛み締めるのかも知れません。そして、次に昇る日の、美しからんことを望むものかも――。どうか、こう申し上げることをお許し下さい。何事も――お出来になるのは、お嬢様なのです。明日の日を生きるお嬢様方なのです」(「鷺と雪」より)

 士族令嬢・花村英子と彼女のお抱え女性運転手“ベッキーさん”こと別宮みつ子が、上流階級の日常の謎を解くシリーズの第三弾。文藝春秋社の作品紹介ページを見ると、これがシリーズ完結巻なのだとか。もっと続きを読んでいきたいシリーズですが、三作収められているその並びといい、最終話のラストの一文といい、とても余韻が残ってシリーズの幕切れには相応しく思えます。
 名門の子爵がルンペンをしているかもしれないと密かに調べる「不在の父」、深夜に上野で補導された少年が日記に書いていた「ライオン」という言葉の意味を調べる「獅子と地下鉄」、海外に出張しているはずの許婚者が写真に写りこんでいた謎を解く「鷺と雪」の三作。
 このシリーズは、文章が落ち着いていて作中の人物達の言葉遣いも美しいので、読んでいて心地良いんですよね。出てくる書名や演劇、当時の流行物なども興味深い。あとがきによると、ここに収録された話のもとになる出来事が実際にあったというのも面白い。
 短編ひとつひとつが進んでいく中で、ひっそりと全体に横たわる世相の不穏な空気が、最後になんとも重くひんやりとした余韻を残します。ああ、今までのあれやこれやが、そんなところに帰結するなんて……。作中に出てくる詩の一説「騒擾ゆき」という言葉が、しんと静まり返った中に浮かび上がるようです。
 もっと長く読んでいきたいと思っていたシリーズだけれど、この余韻のまま幕切れとするのがいいのかもしれませんね。華族制度も日本という国も、この後大きく変わってしまうから。冒頭に引用した別宮の言葉は英子嬢に向けられたものですが、この物語を読んでいる者皆へ向けての言葉でもあるように思います。

 ※文藝春秋社の作品紹介ページでこの作品の試し読みができます。

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2009.05.21 Thursday * 00:26 | 北村薫 | comments(0) | trackbacks(1)
* 『1950年のバックトス』北村薫
評価:
北村 薫
新潮社
¥ 1,575
(2007-08)
 ――入ったっ。でも――
 グローブから出している暇はない。ゴロの打球だ。一塁ランナーは、早くも二塁に迫っている。同時に、ベースに駆け寄る楓の姿が目に入った。
 ――どうせ駄目なら。
 そう、考えたというより、節子はただ、憧れの人に、一瞬でも早く白球を渡したかった。必死の思いをこめて、ショート側に駆け過ぎながら、グローブを振った。
  (「1950年のバックトス」より)

 1995年から2007年にかけて書かれた、23の短編と掌編を集めた本。
 ちょっと背筋がぞわぞわするものや懐かしい風景が再現されるもの、落語口調と駄洒落で語りが進んでいく本格推理ものなど、いろいろな話が収められています。

 気に入ったのは、本書のタイトルにもなっている「1950年のバックトス」。少年野球のチームに入った少年の母親と祖母がその試合を観に行くところから、話は祖母の青春時代へと遡り、昔そこにあったきらめくような一瞬を見せてくれる。
 「昔町」の雰囲気もいい。仕事一筋で生きてきた男性が、残りの人生も短くなったことに気づき、財産をなにか自分のために使おうと思う。そして行き着いたのは、子供の頃の町並みをそのままリアルに再現したテーマパークだった。『三丁目の夕日』や『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』に、郷愁を誘われた人はきっとこのラストシーンにもぐっとくると思う。
 「万華鏡」に漂う不思議な雰囲気も好き。ある小説家のもとに、彼の小説の登場人物に恋をしたという女性が訪ねてくる。万華鏡というアイテムや、作品の中の人物に恋をするなど、どこか乱歩の「押絵と旅する男」を連想した。

 あと、本書のラストに収められていた「ほたてステーキと鰻」は、『ひとがた流し』の登場人物たちが出てくる後日談でした。思わぬところでまた彼女たちの様子が見られました。どれも数頁から十数頁の短いものなので、ストーリーよりも描写や文章表現を楽しみたい感じ。搗き立てのお餅の描写がなんともやわらかそうで印象に残っています。それにしても北村さん、駄洒落がお好きですね(笑)

【収録作】
 百物語/万華鏡/雁の便り/包丁/真夜中のダッフルコート/昔町/恐怖映画/洒落小町/凱旋/眼/秋/手を冷やす/かるかや/雪が降って来ました/百合子姫・奇怪毒吐き女/ふっくらと/大きなチョコレート/石段・大きな木の下で/アモンチラードの指輪/小正月/1950年のバックトス/林檎の香/ほたてステーキと鰻

 本ブログ 読書日記
2007.09.13 Thursday * 19:55 | 北村薫 | comments(2) | trackbacks(1)
* 『玻璃の天』北村薫
評価:
北村 薫
文藝春秋
¥ 1,250
(2007-04)
「――わたし達が進めるのは前だけよ。なぜ、こんなことになったのか。このことを胸に刻んで、生きていくしかないのだわ」(「玻璃の天」本文より)

 『街の灯』の続編。昭和8年の東京。良家の子女・花村英子とお抱え運転手のベッキーさんこと別宮みつ子のふたりが、身の回りで怒った謎を解いていくミステリ。今回はベッキーさんの過去についても触れられていて、聡明で思慮深い彼女の魅力の源が少しわかりました。

 昭和初期という時代が私はもともと好きなんですが、この物語は単なる懐古趣味だけでこの時代設定にしているわけではないんだなということを、今回ははっきり感じましたね。国がある方向へと進もうとしている、その予兆を感じさせるエピソードや人物が登場します。右を向けと言われたらみんなが右を向き、大義を掲げて進んでいく。その中に「自由」の居場所はないのでしょうか。
 「幻の橋」で英子と言葉を交わした青年将校・若月英明がとても印象に残りました。彼が出てきたのはそのワンシーンのみですが、今後この物語の中で時世が戦争へと向かっていったら再び登場しそうな気がします。英子の周りにいるのは、みな上流階級の人間です。庶民の地位から叩き上げで将校になった若月の言葉は、とても貴重なものに思えます。その中に軍部側の論理が含まれているにしても、彼は駒を動かすように軍を進める上層部とは違った物の見方をしているでしょうから。
 与謝野晶子の詩についての解釈には、はっとしました。今まで立場を変えてあの詩を見たことがなかったので。確かに、当の弟や家族にしたら与謝野晶子の存在は怖いものだったかもしれませんね。

 「幻の橋」は、さながらロミオとジュリエットのような関係の恋人たちと、両家の確執のもととなった過去のある出来事の謎が解かれます。この話で一番印象に残ったのは、先に書いたとおり英子と若月の対話シーンでした。

 「想夫恋」では暗号が出てきます。それまでにもウェブスターの『あしながおじさん』と探偵小説との関連などが語られていましたが、乱歩の「二銭銅貨」ばりの暗号にわくわくしました。「鏡地獄」に関する話題もちらっとあったな。けど、自分で解くのは早々にお手上げ(笑) ラストシーンの美しさにすべてが集約されてますね。

 お気に入りは「玻璃の天」かな。「公」と「私」についての部分やラストシーンなど、単にひとつの事件の話としてだけでなく、この時世に重ねてみるとまた感慨深いものがあります。連作ミステリの体裁をとっているけれど、このシリーズ全体を通読すると、そこにはもっと大きなテーマが横たわっているように思います。

【収録作】
 幻の橋/想夫恋/玻璃の天

 本ブログ 読書日記
2007.07.30 Monday * 13:03 | 北村薫 | comments(0) | trackbacks(1)
* 『ひとがた流し』北村 薫
ひとがた流しひとがた流し
北村 薫

朝日新聞社 2006-07
売り上げランキング : 23469
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 アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々は、高校からの幼なじみ。牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持つ身だ。一方、千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢された矢先、美々と共に受けた検診で意外な結果を知らされる――。

 著者が後書きで書いているように、文中には「涙」という言葉は出てきません。登場人物たちがそれぞれの事情や過去、感情など、いろいろなものを流している中で「涙」だけは安易に流させたくなかったのでしょう。千波の病名についても、それがこの小説のテーマではないので明らかにしていません。

 正直なところ、本書の半分まで、いや、3分の2くらいまではなんだか退屈な印象を持っていました。話の流れがゆっくりで、それはそれだけ丁寧に3人の女性たちとその関係性を描いているってことなのかもしれないんですけど、もっとはっきりとした起伏を欲していたのでもどかしく思っていました。
 けれど千波の病気がきっかけとなって、それぞれの過去のちょっとした出来事が思い起こされていくようになってからは、それまでのゆるゆるとした話の流れが次第に澄んだ川の流れのように感じられて、前半の気にも留めなかったような文章がやけに懐かしく思われるような、そんな気持ちになりました。

 ああ、それはちょうど、自分の親や祖父母たちに聞かされていた昔語りが、子供の頃は右から左へと通り抜けていっていたのに、年をとってふとなにかの折に思い出されるような、そんな感覚に似ているかもしれません。
 人から見れば小さな、けれど本人にとっては心の中に突風が吹きぬけるような出来事ってありますよね。そういったものがいくつかこの話の中にはあって、その当人たちの感情を抑えた筆で描いているので、一見穏やかに毎日が過ぎていくんだけど、よく考えたらとてもそんな些細な事だと片付けられない話なんです。みんな自分で処理して飲み込んでいくので大きな波やうねりがないように見えるだけで。

 私たちの毎日はきっと、こんな風にみんなが心の中を波立たせたり凪いだりしながら生きているのでしょう。それが表にあらわれることもあれば、人知れず過ぎてゆくこともある。ある3人の女性たちとその周辺の人々の姿を通して、そこのところを思い出させてくれました。
2006.12.15 Friday * 17:17 | 北村薫 | comments(2) | trackbacks(0)
* 『紙魚家崩壊 九つの謎』北村薫
紙魚家崩壊 九つの謎紙魚家崩壊 九つの謎
北村 薫

講談社 2006-03
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 10年以上前のものから最近のものまで、北村さんの未収録短編9つを集めた短編集。
 北村さんの本は装丁の美しいものが多いですね。恩田陸さんの本も装丁をいつも楽しみにしているんですけど、北村さんの本もこれとか『ニッポン硬貨の謎』とか『盤上の敵』とか『語り女たち』なんかは、あまりに美しいので奮発してハードカバーで買っちゃいたくなります。

■溶けていく
 ホラー。就職難の中、新卒でようやく入社した美咲は、ある日どうしてもアイスが食べたくなってコンビニへ行く。けれど、そこで職場の人間そっくりの登場人物たちが出てくる漫画を見つけ――。
 会社や自分の現状に対する鬱屈は誰にでもあるもの。それとどう折り合いをつけていくかが社会人だとは思うのですが、美咲のようにある捌け口を見つけてしまったとき、そこへ逃避せずにいられるかどうか。冒頭でアイスクリームを欲しがっていた美咲自身が、まるでアイスのようにドロドロと壊れてゆく様が怖いです。

■紙魚家崩壊
 探偵小説。「両手が恋している女と探偵との第三十七番目の事件」
 冒頭のこの一文と、本当にある女性の右手と左手がそれぞれ恋し合っている描写を読んでいたら、川端康成の「片腕」という耽美で幻想的な短編を思い出しました。そっちは「一晩だけ、あたくしの腕を可愛がってやってくださいまし」と女が貸してくれた片腕と同衾する男の話なんですけど、指とか手の描写というのは、どうしてこんなにもエロティックになるのでしょう。おっと、それはこの短編の本筋とは関係ないので置いておきます。危ない危ない。脇道に逸れるところだった。
 書物収集狂の紙魚家主人とその妻を訪ねた探偵と女。しかし本で溢れかえった密室の中で、紙魚家の妻が死んでいた――。いや、これ世の読書家・積読家は笑えない話じゃないかと。私は身につまされるものがありました(笑) 探偵が謎解きをするのですが、助手(?)の女性が心の中でそれに疑問を唱えます。一見論理的な解決の探偵の謎解きと、パズルとしての回答ではなく人間の感情として納得のいく女性の推理。真相としてはどちらもありえそうですが、本文中の女性の独白に、本格ミステリ好き、探偵小説好きな私は「嗚呼……」と頭を垂れるのです。
 けれど、探偵はそういいませんでした。だから、それは真実ではないのです。(「紙魚家崩壊」本文より)

 そうです。探偵小説において探偵の謎解きは絶対です。彼は神なのです。どんなに納得のいく推論が他にあろうとも、探偵がそうだと言わなければ、それは真実ではないのです。そして、その絶対神が出てくる探偵小説を、私は好きで好きでしょうがないのです。
 タイトルはもちろん「アッシャー家の崩壊」からきてるのでしょう。ラストはこのタイトルに相応しい風景が描かれています。

■死と密室
 探偵小説。「両手が恋している女と探偵との第三十八番目の事件」
 感想を見てもらえれば一目瞭然ですが、本書の中で「紙魚家〜」とこの話が特にお気に入りです。これをシリーズにして、丸々一冊彼らの話が読みたいです。書いてくれないかなー、北村さん。探偵の推理とその反証の繰り返しは、ちょっとメタミステリっぽいですね。
 リタイアした作家たちによる老人ホームでこれから起こる完璧な密室殺人事件に立ち会って欲しいと要請され、探偵と女は出かけて行くが――。
 起こってしまった事件ではなく、これから起こる“完璧な”密室殺人事件のために探偵が呼ばれるという、一見奇妙な物語です。が、逆に考えてみれば“完璧な”密室殺人が起こればそれを解ける者はおらず、そればかりか完璧さゆえに事件とさえ思われずに終わるかもしれないわけですから、それを考えついた人間にとっては口惜しいことでしょう。予め探偵を立会人に指名するというのもありかもしれません。
 解けない謎は氷で作った球体のように美しく、そして誰にも気づかれない謎はただ水泡に帰すだけです。
 ミステリを好まない人からよく言われるのは、「人を殺したときに、なんでわざわざそんな面倒なトリックを考えて実行する必要があるのか」という言葉。この話の中にそのものずばりな答えがあるわけではありませんが、ラストのなぜ老人たちはわざわざ探偵を密室事件の立会人に指名したのか、のあたりを読んでいたらその問いの答えとなんだかダブるような気がしました。

■白い朝
 日常の謎。北村さんを愛読している人なら「これはもしかして、アノ人の初めての事件では?」と思うことでしょう。
 家に停めてあった車のサイドミラーだけは、どんなに寒い朝でも曇っていなかった。家族が不思議がる中、年下の従弟だけがその理由をそっと主人公に解いてみせた。
 北村さんらしい、少しの含羞と綺麗な情景の見える短編です。

■サイコロ、コロコロ
■おにぎり、ぎりぎり

 どちらも同じ登場人物たちによる日常の謎。
 10角のサイコロを持った男が言う、そんなサイコロの必要な職業とは――。
 山へフィールドワークに出かけた際、みんなで持ち寄ったおにぎりから推理されることは――。
 ほのぼの明るくてユーモアのある二編。「円紫さんと私」シリーズでも思うことですが、どうして北村さんはこんなにも女性の機微がわかるんでしょう。不思議だ。ちなみに、私の握るおにぎりは三角形をしています。(読むと、自分のおにぎりの形を確認したくなりますよ)

■蝶
 二者の会話のみで構成された幻想的なお話。
 下手するとネタバレになりそうで、あまり多くは語れません。

■俺の席
 「世にも奇妙な物語」風ホラー。あるとき乗った電車は毎朝通勤に使っている電車だったが、始発駅から乗ったので初めて座る事が出来た。しかし、ひとりの男が目の前に立ち自分のことを睨みつけ――。
 私も以前、始発駅から通勤電車に乗っていましたけど、自然とその車両の顔ぶれが固定されてきて、座る位置や立ち位置が決まってくるもんなんですよね。あのサラリーマンは必ず新聞を読むとか、あの学生さんは途中で降りるからその前に立っていれば座れるぞとか。なので、身近にありそうな話でした。

■新釈おとぎばなし
 「アリ」を「アレ(It)」と一文字変えただけで、なにやらキング風にじわりと怖くなる「アリとキリギリス」。
 「かちかち山」を元にした、タヌキによる「おばあさん殺害事件」を女探偵兼保険調査員のウサギが解決する本格ミステリ。
 「かちかち山」が特に面白かったです。すごいなあ、これ。昔話っていろいろと料理できる素材だとは思いますが、こんなにしっかく本格ミステリになるとは! しかもユーモアたっぷりに。読んでいるとなぜかウサギさんが、『女には向かない職業』のコーデリアみたいに思えたんですけど、コーデリアよりも強かかな。
<収録作品>溶けていく/紙魚家崩壊/死と密室/白い朝/サイコロ、コロコロ/おにぎり、ぎりぎり/蝶/俺の席/新釈おとぎばなし
2006.08.16 Wednesday * 18:40 | 北村薫 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『語り女たち』北村薫
語り女たち語り女たち
北村 薫

新潮社 2004-04-15
売り上げランキング : 9960
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 男は海辺の街に小部屋を借りた。潮騒の常に響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた客の話を聞こうという趣向だ。架空の夢物語ではなく、日常に起こった体験談を聞かせて欲しいと、全国の新聞・雑誌に広告を載せた。男のもとを訪れるのは17人の語り女(かたりめ)たち。彼女たちが口にする物語はいずれもがどれも不思議な光を放っていて……。

 とても美しい本。
 装丁も、中の凝った印刷も、挿絵も、そして文章も。
 北村さんの文章はいつ読んでも品が良いけれど、ここでは更に美しい言の葉が紡がれていました。語り女たちの話はどれも少し不思議で。あるいは優しくて。一気に読まずに何日もかけてちびりちびりと美酒を味わうように読み進めました。
 ストーリー的にちょっと弱いとは思うけど、これは筋を楽しむ話ではないし、静謐な文章は上品で瑞々しい。文章を味わう本、といった感じでしょうか。そしてその造りの美しさから、手元に置いておきたい本でもあります。夜更けにひとり、毎晩一編ずつ読み進めるのにもってこい。
2006.07.12 Wednesday * 01:50 | 北村薫 | comments(0) | trackbacks(0)

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