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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『アガサ・クリスティを訪ねる旅―鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台』平井杏子
 イングランド南西部に広がる、アガサ・クリスティのミステリ・ワールドをめぐってみたい。それも、エルキュール・ポワロやミス・マープルや、そのほかの登場人物たちがそうしたように、列車やバス、ときには小船やタクシーを乗り継いで。(「あとがき」より)

 今年はアガサ・クリスティ生誕120年ということで、BSでもクリスティ特集組まれていますし、関連書籍も上半期に何冊か出ていましたね。この本も奥付を見ると今年三月発行です。
 冒頭に引用したように、私も好きな作家や作品があるとその舞台になった場所に行ってみたいと思います。英国だったら、クリスティ関連かホームズ関連かで悩みますね。英国全体をまわるならクリスティ関連かなあ。
 というわけで、この本であります。ロンドンのパディントン駅に始まって、アガサ・クリスティの作品に登場した各地を鉄道とバスを乗り継いでまわっている旅行記であり、ガイド本です。著者が撮影したと思われる写真がたくさん載っているのですが、どれも奇麗に撮れていて人にアルバムを見せてもらいながら旅行の話を聞いているような感じがします。

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2010.09.14 Tuesday * 18:28 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』C・スコット・リトルトン、リンダ・A・マルカー(著)、辺見葉子、吉田瑞穂(翻訳)
 先日2004年の映画『キング・アーサー』を見まして。それがいわゆる剣と魔法のアーサー王伝説ではなく、アーサー王伝説のモデルになった人物を描いた歴史映画で、今までのアーサー王ものとは違って面白かったので伝説の起源を知りたくなり手に取りました。
 ケルト神話からきているとされていたアーサー王伝説が、スキタイ起源であるという主張は分かりました。ただ、なにしろ専門書なものでその説を面白いなあとは思うものの、見極める知識はないので頭の中であれこれ考えながら読むのではなく、ひたすら「へえ〜、へえ〜」と読み流す感じでした。イギリスやアーサー王伝説に詳しい人から見たらツッコミどころが多いのかな。それすら私には分かりません(笑)
 日本でいう卑弥呼伝説の新説みたいな感じですかね。

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2010.09.10 Friday * 18:49 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『スパイ事典 「知」のビジュアル百科 27』リチャード・プラット:著、川成 洋:訳
評価:
リチャード プラット
あすなろ書房
¥ 2,625
(2006-05)

 旧約聖書の時代から既に存在していたスパイ。この本は、スパイとはなにか、から始まって実際に使われていたスパイ道具の数々や有名な実在のスパイの話、暗号解読機器、盗聴器やそれをどうやって仕掛けるか、そしてスパイ活動の内容まで。これ一冊あればスパイのなんたるかが分かる本。写真や図が多いので見て楽しめます。きっと私達には文章だけではその道具の様子が伝わり難いから、これほどたくさんの写真が使われているのでしょう。とても面白い一冊でした。
 女スパイ、マタ・ハリについては有名ですが、フランス王朝時代にいた女装の男スパイについては知りませんでした。周囲も彼を女性だと思っていて、その正体がばれた時にはみな驚いたとか。007シリーズのジェームズ・ボンドのモデルになった人物や、400以上の暗号を送り続けた女スパイなど、実在した人物の話が興味深かったです。二重スパイと彼を信じていなかった雇い主(某国)のやりとりとか。事実は小説より奇なり。
 スパイ道具の数々も、人間の知恵やアイデアが結集されていて面白いです。砂漠や砂浜に残った足跡から靴底を判明できないように考え出された裸足の跡がつく靴底だとか、二重になったトランプカードの中に隠された紙片だとか、手のひらにすっぽり入ってしまう小型カメラだとか。
 巻末には現代の産業スパイについても載っていて、スパイについての法的規制がない日本は、とても怖い状況にあるんじゃないかと思わされました。こんなに当然のようにスパイが暗躍しているとは。

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2009.09.08 Tuesday * 19:11 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『ニック・シャドウの真夜中の図書館 1 声が聞こえる』ニック・シャドウ
評価:
ニック・シャドウ
ゴマブックス
¥ 924
(2008-04-16)

 これらの物語を聞けば、みなさんの身体の芯から凍りつき、若くてもろい骨にはがたがたとふるえが走ることでしょう。
 ページをめくるのに勇気がいるかもしれません。
 なにしろ、最悪の結末がまっているのですから……。

 秘密機関“真夜中の図書館”の館長ニック・シャドウが、選りすぐりの怖い話をひとつずつ聞かせてくれるという形式で進んでいく本。表紙に描かれたニック・シャドウは随分と若い少年の姿をしています。これは日本の若年層向けにデザインされたものでしょうね。小中学生が手に取りやすそう。
 内容は、どれも少年少女が体験する恐ろしい話なのですが、冒頭で引用したように悲惨だったり救いのないものばかり。「世にも奇妙な物語」のブラックなオチの話が好きな人は、きっと面白く読めると思います。ただジュニア向けなので、一冊辺りの分量がちょっと物足りなく感じられるかもしれません。
 この第一巻に収録されているのは、未来の出来事が会話で聞こえてしまう少女の話「声が聞こえる」、悪魔のような意志を持ったスニーカーを手にしてしまった少年の話「ぴったりの靴」、恐ろしいリンゴを食べてしまう少年の話「一日一個のリンゴ」の三編です。このみっつの中では「声が聞こえる」が少しミステリっぽくて予想を軽く裏切ってくれる結末でした。
 こういった後味の悪い怖い話って、子供たちの間で流れる怪談話や都市伝説と近いものがあるように思います。結末が悲惨だから、救いがないから、子供に読ませるのはどうなんだろう――というのは大人の考え方で、子供ってこういうブラックな怖い話をどこかで求めているのかも。このシリーズが90万部と売れているのも、そういうことなんじゃないのかな。

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2009.08.10 Monday * 18:54 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『子どもたちのいない世界』フィリップ クローデル
評価:
フィリップ クローデル
みすず書房
¥ 2,520
(2006-11)

 寓話のような短編から詩、不思議な言葉で書かれたなんとなく雰囲気で読む掌編まで、さまざまな文章が詰め込まれた一冊。時にはシニカルに、時には夢見るように。この著者の書いた『リンさんの小さな子』がよかったので、これも読んでみたんだけど、あちらが悲しいおとぎ話のような雰囲気だったのに比べて、こちらに出てくる子供たちは随分と冷めている印象。
 子供に諭される不器用な妖精、悪夢の狩人、人々が優しくなるワクチンを開発しようと頑張る女の子、家族にも級友たちにもいじめられて本の世界に行ってしまう男の子といった、奇妙だけれど引き込まれる話の中に、死や絶望、いじめ、格差、戦争、病気などのキーワードが埋め込まれていました。作者はこれを愛娘のために書いたそうですが、なかなかにブラックな話も出てくる本なので、何歳くらいの子に読ませるのにちょうど良いのか、ちとはかりかねます。

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2009.07.15 Wednesday * 20:03 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『親の家を片づけながら』リディア・フレム
評価:
リディア・フレム
ヴィレッジブックス
¥ 1,260
(2007-10)

 既に父親を亡くし、そして母親をも亡くした著者が、親の家を片付けながら思うあれこれが書かれた本。エッセイになるんですかね。非常に個人的なモノローグを延々と読んでいる感じでした。私は既に二親を亡くしているので、この本の言葉を使うなら“家なき子”であります。著者の感じる親への哀悼・哀惜・懐古などの感情は覚えがあるし、「もっと愛せたんじゃないか」という後悔もまたわかります。ただ、読み物としてどうかというと、わざわざ本で読まなくてもよかったな、と。ひとりの女性が、肉親を亡くした痛みを、親の持ち物や来歴に思いを馳せることで、少しずつ癒していく様子は見て取れました。
 著者も気持ちの整理をつけるために、親の家の片付けとその時の自分の心の揺れ動きを書くことにしたと言っています。近しい者ならお茶でも飲みながらしみじみと語り合う、個人で抱えるなら日記に書き綴る、そういう内容です。

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2009.07.14 Tuesday * 19:28 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『やんごとなき読者』アラン・ベネット(著)、市川恵里(翻訳)
評価:
アラン ベネット
白水社
¥ 1,995
(2009-03-11)

 読書の魅力とは、分け隔てをしない点にあるのではないかと女王は考えた。文学にはどこか高尚なところがある。本は読者がだれであるかも、人がそれを読むかどうかも気にしない。すべての読者は、彼女も含めて平等である。文学とはひとつの共和国なのだと女王は思った。(本文より)

 エリザベス女王がふとしたきっかけで読書の楽しさを知り、そしてどんどん本の虜となっていくお話。もちろん、フィクションですが、本当にこんなやりとりがあるのかもしれないと思わせるものでした。コテコテした修辞もなく平易な文章で読みやすく、気持ちの良い軽さのある内容でした。
 女王が次第に本を読むことの魅力にとりつかれていく過程は、本好きなら思わず「そうそう」共感する場面が何度もあるし、読書に耽溺するあまりに起こる弊害も、彼女の公務と比べたら規模や重要性は変わるものの、充分身に覚えのあるものです。

 本文や解説などを読むと、英国や欧米では上流階級の人たちの間に趣味で読書を楽しむという習慣はあまりないようで、この作品の中でも女王の読書熱をやっかいなものとして周囲が排除しようと動きます。同じく読書を趣味とする女王の侍従をクビにしてしまったり。
 途中まではただ微笑ましかった女王の読書熱が、中盤から無理解な周囲との軋轢を起こし、真面目で聡明な彼女はそれに抵抗しつつも、思索に耽るようになります。それまで50年以上の在位期間を、義務と責任と、そこにあとから付随する喜びとでこなしてきた女王が、初めて自らの内面を見つめ、どこに向かって進むのか考え出す。ユーモア小説に見せた立派な成長物語です。
 ラストは、まさかそうくるとはまったく予想していなかったオチで、小気味良く爽快ですらありました。

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2009.06.11 Thursday * 20:31 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『バースデイ・ストーリーズ』村上春樹:編訳
評価:
レイモンド・カーヴァー,ポール・セロー,ラッセル・バンクス,デニス・ジョンソン,ウィリアム・トレヴァー,ダニエル・ライオンズ,リンダ・セクソン,デイヴィッド・フォスター・ウォレス,イーサン・ケイニン,アンドレア・リー,村上 春樹
中央公論新社
¥ 1,680
(2002-12-07)
 時間はやってきて、時間は去り、それを取り戻すことはできない。(ラッセル・バンクス「ムーア人」より)


 誕生日をキーワードに村上春樹が編集・翻訳したアンソロジー。村上氏の書き下ろし短編も収められています。実は昨日誕生日だったので読んでみました。ハッピーバースデイと言うけれど、ここに収められた短編はそのほとんどがハッピーなお話ではありません。誕生日なのに事故に遭ったり、友だちを死なせてしまったり、家族との確執で家に帰らなかったり。
 そんな中で、ラッセル・バンクスの「ムーア人」がよかったです。若い頃は役者を目指していたものの暖房設備の部品販売業をしている男性が、ある雪の晩に仲間と行ったレストランで80歳の誕生日を祝いにきているひとりの老婦人と会います。ふたりは昔、彼女の夫の目を盗んで関係を持っていたという過去があって――というお話。
 老婦人と男性の会話がしっとりとしていていいんです。全体を見ると穏やかでほの温かい話なのに、読後に残るのはしんと雪の冷たさが漂う寂寥感。お互いに不満のない現在と思い出を胸に持っているのに、なぜか本を閉じた後に浮かぶのは底冷えする雪の風景なんです。タイトルの「ムーア人」は『オセロー』からきているんですが、これもまた秀逸です。
 それともう一編。娘のバースデイ・ケーキを買い損ねた若い母親からケーキを譲ってくれと言われて頑強にそれを拒む老女の話、ダニエル・ライオンズの「バースデイ・ケーキ」。これも老女がなぜそこまで突っぱねるのかがわかった後には、どうしようもない寂しさを感じます。私は冒頭から老女の言い分に共感していたので、余計にそう感じたのかもしれません。そんなに大事なバースデイ・ケーキなら、なぜ予約を入れなかったのか、なぜ当日の閉店間際になって赤の他人に譲ってくれなどと言うのだ、なぜそれを受け入れられるのが当然だと思うのだ、なぜ断っただけで恨むとかクソ婆と罵るのだ、自分が悪いのではないのか、若い母親よ、と。……あら? 私も頑固婆さんになりそうです。

【収録作】
 「ムーア人」ラッセル・バンクス
 「ダンダン」デニス・ジョンソン
 「ティモシーの誕生日」ウィリアム・トレヴァー
 「バースデイ・ケーキ」ダニエル・ライオンズ
 「皮膚のない皇帝」リンダ・セクソン
 「ダイス・ゲーム」ポール・セロー
 「永遠に頭上に」デイヴィッド・フォスター・ウォレス
 「慈悲の天使、怒りの天使」イーサン・ケイニン
 「バースデイ・プレゼント」アンドレア・リー
 「風呂」レイモンド・カーヴァー
 「バースデイ・ガール」村上春樹

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2009.04.16 Thursday * 20:11 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』スコット・フィッツジェラルド
評価:
スコット・フィッツジェラルド
イースト・プレス
¥ 1,365
(2009-01-22)
 人生は夢であると感じることはないだろうか。(「訳者あとがき」より)

 映画のほうは本年度のアカデミー賞最多ノミネートで、テレビでCMをよく見かけます。けれど、その原作となったこのお話を書いたのが、フィッツジェラルドだったとは知りませんでした。
 80代の老人の姿で生まれ、年々若返っていくベンジャミン。女性はよく、ある程度の年齢になると化粧品や美容整形などの力を借りて若さを保とうとするものですが、それは美しく見える状態を保持したいだけで、こんな風に止まることなく若返り続けてしまうのは、羨ましくもなんともないというのがよくわかりました。
 実年齢が子供の頃は容姿が老人で、実年齢が老齢に達する頃には容姿が子供。自分よりもはるかに年下の者に子ども扱いされ、自分の経験や知識も活かすことが出来ない。自分の息子にも疎まれ、彼を本当に理解しているものはひとりもいません。妻でさえ、彼を理解して愛したわけではないだろうと思います。ベンジャミンの母親が一度も話の中に出てこないのも、大きな喪失感を伴います。
 なんと恐ろしく孤独で悲劇的な人生か。
 彼にとっては中身と外見の反比例した一生は、どこをとっても誤解や無理解の連続だったことでしょう。懐かしむ思い出もなかったかもしれない。読みながらかすかに抱いていたハッピーエンドへの期待も軽く裏切ってくれて、思いがけず呆然としてしまいました。特にラストシーンは、印象的です。我々は生から死へ向かって生きているのではなく、生と死が二つ巴の模様のように近接している中にいるのかもしれませんね。

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2009.02.10 Tuesday * 20:01 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(1)
* 『地球の静止する日―SF映画原作傑作選』レイ・ブラッドベリ、シオドア・スタージョン他
評価:
レイ ブラッドベリ,シオドア スタージョン
東京創元社
¥ 1,050
(2006-03-23)
 SF映画の原作を集めた日本オリジナルのアンソロジー。

■レイ・ブラッドベリ「趣味の問題」(映画「イッツ・ケイム・フロム・アウタースペース」原作)
 どれほど善良で博愛精神に満ちた知能の高い異星人でも、人間は見た目が駄目だと友好関係を築けないのか。例えば、それがゴ○○リそっくりな異星人だったとしたら、やっぱり私も生理的嫌悪感に勝てないかもしれません。
 そんなエイリアン視点の物語なんですが、“彼”の目で見た世界がとても叙情的で美しい。彼らが織り成すタペストリーとか、人間たちを案内して見せる彼らの星の夕暮れとか。さすがブラッドベリ。
 それなのに、人間の下した決断は……。

■ウォード・ムーア「ロト」(映画「性衝動と原爆戦」原作)
 世界でなにが起こっているのかというのはほとんど説明されず、ひたすら逃げ惑うパニックに陥りかけた人々の中、非難する一家の様子が描かれています。車内での家族の遣り取りに終始してるんだけど、それが密室劇のようで面白く読みました。これはブラックなオチですね。でも、続編の「ロトの娘」は更に嫌な展開になるそうで読んでみたいなあ。

■シオドア・スタージョン「殺人ブルドーザー」(映画「殺人ブルドーザー」原作)
 飛行場建設工事のために無人島にやってきた作業員たちを、ブルドーザーが襲う話。意思を持ったブルドーザーと作業員たちの戦いは面白いんですが、少々冗長に感じられました。というのも、ブルドーザーの部位や部品名がたくさん出てきたり、ブルドーザーの操作方法についての記述が多くて、ちょっと場面が想像しにくかったんですよね。なんかすごい状況なのはわかるんだけど、具体的に今作業員たちはどんな目に遭ってて、ブルドーザーはどんな状態なのか、ちょっとすんなり思い浮かべられなくて。

■ドナルド・A・ウォルハイム「擬態」(映画「ミミック」原作)
 町内に住み着いていた黒マントの男が死んだ。彼の身体を調べると驚くべきことに……。
 数ページの短い話。短いながらも不気味な雰囲気が漂っていていいですね。これと「趣味の問題」が本書の中ではお気に入り。

■ハリイ・ベイツ「主人との決別」(映画「地球の静止する日」原作)
 1950年代に制作された映画「地球の静止する日」を以前WOWOWで見たのですが、とても印象的な名作でした。来月キアヌ・リーヴス主演でリメイク版が日本でも公開されますね。そちらも観にいく予定。映画とは随分と内容が違いました。地球にやってきた異星人と彼が連れてきてロボット。異星人は暴走した人間に殺されてしまい、その瞬間から動かなくなったロボットと宇宙船が残されるのだが……。
 結局、彼らは地球になにをしにきたんでしょう。オチにちょっとした驚きはあるものの、なんとなく宙ぶらりんな気分を残す読後感。

■ロバート・A・ハインライン「月世界征服」(映画「月世界征服」原作)
 本編と、映画制作の顛末をハインライン自身が書いた「『月世界征服』撮影始末記」が同時収録されています。
 ソ連とアメリカの間で繰り広げられていた宇宙開発競争のさなか、さまざまな思惑を振り切って宇宙へと飛び出す宇宙飛行士たち。しかし、いくつものトラブルが重なって……。
 正統派のSFだなあと思いながら読んでいたんですが、結構ツッコミどころが多くて、それが楽しかったです。「しまった!」とか「忘れてた!」とか、未踏の地である宇宙に飛び立つ割には、準備不足やうっかりミスが多発しすぎです(笑) ラストは映画とは違っているそうですが、この最後はハインラインらしい感じがしました。

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2008.11.29 Saturday * 04:26 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(1)

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