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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『彩雲国物語 光降る碧の大地』雪乃紗衣
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 ひろがる奇病をなんとか食い止めようと茶州へ戻った秀麗、しかしそこには奇病の原因を女性である秀麗が官吏になったせいで天が怒っていると吹聴する邪仙教に惑わされた人民たちがいました。人々が秀麗を恨んで憎んで手にかけようとするのを見て、イライラむかむか。んなわきゃないだろ、なんて思うのは客観的に見ているからで、当事者になったらこういう言葉に飛びついちゃうものなのかな。訳がわからないままバタバタと近親者が死んでいくよりも、「こいつのせいだ」と憎しみややり切れなさをぶつける者がいるほうが救われるのか。
 大活躍の秀麗よりも、私は王都から派遣された医師団の描写に胸打たれるものがありました。開腹手術をしなければ病巣を取り除けない奇病。しかし、誰も人の腹を切った経験などないのです。開腹などという方法も知らなかった彼ら。もちろん手術用の道具もありません。人の腹を割く、下手をすれば……いえ、一所懸命やっても、頑張っても、自分のせいで病人を殺してしまうかもしれない。人の命を救うために医師になったのに、もしかしたら自分の手で患者を殺してしまうかもしれない。そんな恐怖と不安、それでも目の前で死んでゆく人々を助けたいという思い。若き医師団は苦悩し、葛藤し、無力な己にむせび泣きます。いつもは秀麗がいろんな相手と渡り合って物事を解決しますが、この巻はこの医師団の頑張りが事態を変えます。
 誰かを助けるためにきたなんて、命が救えないとダメだなんて、とんだ傲慢だ。
 傲ってはいけない。簡単に命なんて救えない。天の宿命に逆らってでも、傾いた命の秤を押し上げたいと思うのなら。
 自分のすべてと引き替えにして、その命に潰されるかもしれなくても、全身全霊の力で。(本文より)

 医師団については、みな特に名前を持たないその他大勢キャラなんですよね。でも、その名もなき医師たちがすごく良かった。助けを求めて子供を抱えて遠くからやってきた母親を前にしたひとりの医師が、涙を拭って一歩踏み出すところがとても印象に残っています。
 もうひとつの山場である、影月についてはなにを書いてもネタバレになりそうなんだよなあ。ひとつだけ挙げると、囚われの身となった影月のもとに龍蓮がやってくるところがよかった。天才であるがゆえにいつも頓珍漢で飄飄としている龍蓮が、この世の終わりであるかのように取り乱すんですよ。それだけ龍蓮にとって、影月は得がたい存在だというのがよくわかりました。龍蓮にもできないことがあり、その考えを誰もはかることができない彼をつなぎとめている存在がそこにあるのだ、という唯一の弱点というか人間的な面を見ることができました。
2006.10.22 Sunday * 14:21 | ライトノベル | comments(0) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 14:21 | - | - | -
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