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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『ロミオとロミオは永遠に』恩田陸
評価:
恩田 陸
早川書房
¥ 1,890
(2002-11)
 人類のほとんどが新地球に移住している近未来。しかし、国連の「新地球」移民法制定によって日本人だけが旧地球に居残りを余儀なくされ、20世紀から21世紀にかけて世界中で垂れ流された有害物質や産業廃棄物、核廃棄物などの処理をさせられている。最終的な処分まで数千年はかかると言われているこの難事業のために、日本人の数はじわじわと減り続け、有害物質処理の仕事に従事するうちに遺伝子異常が確認されると、子供を作ることも許されなくなる。ここで生き抜き、人間らしく生活することを願うなら、処理者たちを指導する側、つまり超エリートになるしか道はない。そのための唯一の手段は、大東京学園の卒業総代となることで……。苛酷な受験レースを潜り抜けたアキラとシゲルを待ち受けていたキャンパスとは…。絶望に満ちた学園からの、郷愁と哄笑の大脱走劇。

 昭和という時代は、もはや大正・明治時代と共に、こんな風にノスタルジックに描かれるようになったんだなあ。あのぐんぐんと社会全体が身体を軋ませながら伸びていった時代が、ここでは地球汚染の元凶であるとされている。
 各章のタイトルがすべて、映画の名前(例えば『死ぬのは奴らだ』とか『未知との遭遇』等)で、細かい所に遊び心があって面白い。クラス分けの名前も都内の地名になっていて、思想的に問題アリな連中が集められるのは「新宿」クラス。

 サブカルネタが満載で、今20代後半〜30代後半までの人達は、「あー、はいはいはい」と至るところで思わず笑いが漏れるだろう。私は、某○ィズニーランドをパロった廃棄物埋め立て場の描写に笑った。気味の悪い、耳ばかり大きいネズミのような化け物が云々…(笑)。20世紀に流行った様々なサブカルチャーがネタとして次々とあらわれる。しかし、この世界では人類を堕落させたサブカルチャーは悪とみなされ、それを愛する者は、地下に潜って活動するしかない。
 いつもラストの詰めが甘い恩田さんだけど、それはもはや持ち味なのか。全編通して、浦沢直樹のマンガ『20世紀少年』と映画『大脱走』と『バトルロワイヤル』を足したような感じ。全体的にB級な雰囲気にパロディの山。表紙がすでに某有名映画のパロディ。実はそのパロディやギャグの奥にあるものはとても重い。けれどあまりその重さを感じずに読めるので、気負う必要もない。現代社会の問題点を危惧しながらも、それでもやはりその欠点だらけの現代社会を愛してやまないといった感じかな。
 個人的には、脱走用のトンネルを掘り続けた脇役コンビが印象的だった。主人公コンビは、イラストからしてまんま某Kin○i Kidsのイメージだ。
2007.03.07 Wednesday * 19:32 | 恩田陸 | comments(0) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 19:32 | - | - | -
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