* スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『夏の名残りの薔薇』恩田陸
評価:
恩田 陸
文藝春秋
¥ 1,950
(2004-09-25)
 山奥のクラシックなホテルで、毎秋開かれる豪華なパーティー。その年、不吉な前兆と共に次々と変死事件が起こった。果たして犯人は……。

 物語は、英国調のクラシックなホテルで起きた変死事件をいくつもいくつも折り重ねて編んでいく。『Q&A』を読み始めたときに「これは恩田陸版『藪の中』かな?」と思ってラストでホラーになっちゃったんだけど、この『夏の名残りの薔薇』こそ恩田陸版『藪の中』という感じ。語り手が各章ごとに次々と代わり、前章で語り手を務めた登場人物が次章の語り手によって観察、描写される。そして前章で起こった変死事件が次章ではなかったものになっていて、また新しい変死事件が起こる。
 舞台も登場人物も限られたクローズドサークルものが好きな人にはいいかも。でも、きっちりとした「犯人探し」を求めている人にはお薦めできない。文章はとても雰囲気があって素敵なんだけど。

 高評価でないのは、
1.この物語の背景ともいえる「去年マリエンバートで」という映画を知らない。
2.引用文がシナリオ形式で苦手である。
3.冒頭の主題に出てくる人物が誰なのかはっきりしないまま終わってしまった。
 という理由から。特に2の引用文がシナリオ形式というのはきつかった。例えて言うなら、ポップ音楽が詰め込まれたCDの途中に何度もクラシック音楽が挿入されているのを聴くような感じだろうか。かなり頻繁に引用文が出てくるので、それまでの読書リズムがそこでガクンと落ちてしまう。で、またリズムに乗り始めたところでガクン、の繰り返し。小説も脚本も同じように読める人なら気になるまい。私は一定のペースで読めなかったので、この引用文の役割は重々承知していながら、どうにも邪魔っけに感じてしまった。

 巻末にある恩田陸のスペシャルインタビューや、ミステリ評論家の杉江松恋による解説は読み応えがあったと思う。
2007.04.22 Sunday * 00:05 | 恩田陸 | comments(0) | trackbacks(2)
* スポンサーサイト
2011.01.19 Wednesday * 00:05 | - | - | -
Comment









Trackback URL
http://12key.jugem.jp/trackback/294
夏の名残りの薔薇
[[attached(1,left)]] ===== 恩田陸 =====   @本格ミステリー・マスターズ  文藝春秋    2004年9月30日  第1刷     写真/'''大嶽恵一''' ----  季節的に『夏』だし、終わりだし、 タイトルに惹かれてと思って読んで
| 入ル人ラ | 2007/08/23 1:26 AM |
『夏の名残りの薔薇』 恩田陸
章によって語り手が変わり、それによって当然視点も変わり、 そして結末も変わってくる。 まるで五面体、六面体の物体の一面を外側からそれぞれ眺め、 だけど中で起こっていることは、ある角度からは見えたり、 歪んで見えたり、見えなかったり。 金持ちの道
| *モナミ* | 2008/09/13 11:01 PM |
<< 「恐ろしき錯誤」江戸川乱歩 | main | 『凍りのくじら』辻村深月 >>