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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『風が強く吹いている』三浦しをん
評価:
三浦 しをん
新潮社
¥ 1,890
(2006-09-21)
 走る姿がこんなにうつくしいなんて、知らなかった。これはなんて原始的で、孤独なスポーツなんだろう。だれも彼らを支えることはできない。まわりにどれだけ観客がいても、一緒に練習したチームメイトがいても、あのひとたちはいま、たった一人で、体の機能を全部使って走りつづけている。(本文より)

 一気読みでした。面白かった!
 高校時代の不祥事が原因で陸上から離れたものの、走ることからは離れられずにいた寛政大学一年生の蔵原走(カケル)と、同じく寛政大学四年生で、高校時代の無理な練習が祟って足を故障してしまった清瀬灰二(ハイジ)が出会ったことから物語は始まる。走れなくなったつらさを越えて再び復調しつつあるハイジは、カケルをオンボロアパート“竹青荘”に入居させ、そこに住まう同大学生十名によって箱根駅伝を目指すことを宣言。呆気にとられる住人たちを叱咤激励、強権発動してその気にさせ、飴と鞭を使い分け陸上ド素人たちの集まりを鍛え上げていく。そうして、箱根駅伝始まって以来の走者ぴったり十名の弱小部として予選会へ挑み……。

 箱根駅伝はいつも見ています。最初から最後まできっちり見るという見方ではなく、他の番組を見つつ、経過が気になってちょくちょくチャンネルを合わせる感じ。で、気づくと見入っちゃってたりするんですよね。快調に飛ばしている姿もいいけど、故障や体調の悪さでつらそうにしているともう駄目です。なんか泣けてきて応援しちゃう。知り合いでもなんでもないのに肩入れしちゃう。思えば不思議な正月行事であります。

 この話に出てくる寛政大学メンバーは、みんなを半ば無理矢理箱根駅伝に参加させたハイジと高校時代に名声を得ながら挫折しているカケルのふたり以外、ずぶの素人です。(かろうじてニコチャンは経験者だけど、ブランクがある) 華やかな顔立ちなのにマンガオタクの王子、陸上やスポーツとはまったく縁のない黒人留学生ムサ、サッカー経験者で天真爛漫な双子のジョータとジョージ、田舎の出身で体力には自信のある神童、在学中にもう司法試験に合格している知性派のユキ、陸上経験者とはいえヘビースモーカーで太っているニコチャン、クイズ番組はすべて録画して見ているクイズ王のキング。
 彼らが嫌々始めながらも次第に走ることの楽しさ面白さを知っていく過程と、いざ箱ね駅伝に出場することになったときの、十人全員のそれぞれの気持ちが語られる場面がいいんです。個性豊かな面子だとは思っていたけれど、それぞれに思うところや期するものがあり、そして人には言えない鬱屈もあったのだと、それまで結構笑えるエピソードが多かっただけに、そのギャップが胸にきます。特にキング。せつないなあ。自分が彼らのマネージャーかなにかになったような気持ちで一緒に見守る、そんな読み方をしてました。
 共に笑い、共に怒り、共に泣き。
 この人たちの中に入っていきたい。一緒にあのボロアパートで過ごしてみたい。箱根目指してハイジにしごかれたい(笑) いつもは外側から物語を眺めている読者だけど、この話本当に向こうへ行きたいと思わせてくれました。来年の箱根駅伝は、かじりついて見てしまいそう。
 それにしても、ハイジの管理能力の高さと全員の性格や特性を活かした指導力はすごい。お見事としかいいようがないくらい。ぱっと見非常に好青年なのに、実は腹黒いところも素敵。他大学の学生にインネンつけられたときの寛政大学メンバーたちが面白かったです。相手に対してどうこうよりも「ハイジがキレそう…!」とびびってる姿が。普段温和な人ほど、怒らせると怖いですよね。
2007.04.26 Thursday * 17:55 | 国内その他 | comments(2) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 17:55 | - | - | -
Comment
こんにちは。
GWの人の混雑を避けて、少し早めに大阪に帰省しておりました。
その道中で、放置していた本を読み、佳境に入ったので、鹿児島に戻ってから一気に読み終わってしまいました。
慟哭だったと思うのですが、身近な人の中に犯人が居たって結末でしたが、終わり間近だけが面白い本でした。
感想はただただ、『長かったぁ〜』ってだけ。
『幻夜』も大阪で仕入れてきまして、これからぼちぼち読んでいこうとおもって、楽しみにしております。
ちなみに、時間のかかった本は、赤井三尋の『翳りゆく夏』でした。
第49回江戸川乱歩賞受賞作品、これにつられて手にした本でした。
| 紫 あずき | 2007/04/27 6:51 PM |
こんにちは。
もう帰省してきたんですか、早いですねー。GW真っ只中だと混みますもんね。
『翳りゆく夏』は読んでいないので、なんとも言えませんが、『幻夜』は『白夜行』が好きなら楽しめるでしょうね〜。
| たかとう | 2007/04/27 11:56 PM |









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