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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『虚空の旅人』上橋菜穂子
評価:
上橋 菜穂子,佐竹 美保
偕成社
¥ 1,575
(2001-07)
「……シュガ」
「はい。」
「わたしは、あやうい皇太子だな。」
 シュガが、意味をはかるように眉をあげた。
「ときに自分がおさえられなくなる。神聖なるヨゴの皇太子としては、あまりにもあやうい性格をしているな。」(本文より)

 新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを主人公に据えた、「守り人」シリーズの外伝。友好国であるサンガル王国の新王即位式に出席したチャグムと星読博士のシュガは、そこで起こった陰謀に巻き込まれてしまう。
 皇太子であることを厭う気持ちを持ちながら、聡明さと優しさで帝としての器を覗かせるチャグム。見ているこちらは彼以上に帝に相応しい者はいないと思うけれど、チャグムにとっては一生を宮と国に絡めとられた生き方なんですよね。個人としての幸せはなかなか得られないかもしれない。でも、国の末端の生活を経験した彼だからこそできる治世もある。この巻ではそんな彼の揺れる心が、「あやうさ」というキーワードで描かれています。
 訪れた海の国サンガルの第二王子タルサンとの対比がくっきりとしていて、民や自分の部下たちへ対する誠実さは似ているのに、向かう方向はまったく違っています。いや、チャグムが気づいていることをタルサンはまだ気づいていないのかな。それとも帝という国の最高位に着く予定のチャグムと、国王にはならない第二王子であるタルサンの違いでしょうか。もちろん持って生まれた性格の違いも大きいけれど、チャグムのほうが孤独でつらそう。国風も対照的。開放的なサンガルと、水面下の権謀術数が多い新ヨゴ皇国。この巻では、ストーリーよりもこのふたりの王子と国の違いが一番印象的でした。
 チャグムとシュガの主従関係にも礎が出来たように思います。この巻で起こった出来事は、今後のふたりの関係にとても大きな意味のあるエピソードとなったでしょう。
2007.05.12 Saturday * 06:05 | 上橋菜穂子 | comments(0) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 06:05 | - | - | -
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