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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 「あさましきもの」太宰治
 こんな話を聞いた。

 そんな言葉で始まる3つの、弱くあさましき人の世の姿。
 短いエピソードが列記された短編。
 今日は桜桃忌ということで、太宰治。

 恋人とした断酒の約束を破って酒を飲んでしまう男の話。
 女がその気になっているのを知りながら焦らす男の話。
 ある微妙な罪名で牢へ入れられたが出牢できた男の話。

 一番印象に残ったのは、恋人とした断酒の約束を破った男の話。約束を破ってしまったことを謝りに行った男を、彼女は笑って取り合わない。
「誓ったのだもの。飲むわけないわ」
 男は後になってあんなにせつなかったことはなかったと述懐するのだけれど、それはどっちの意味でだろう。娘が一途に自分を信じていることを前提としたせつなさなのか、娘は本当は自分が約束を破ったことをわかっていてそれでも不問に付したという前提でせつないのか。
 てんから疑ってくれなかった、と言っているので前者なのかな。だとしたら女心がわかってなーい! こんな風に謝りに来られたら、知らんふりして取り合わないほかないじゃないか。まだ好きで別れたくない相手だったら。
 男は正直に話して許してもらおうって甘い考えかもしれないけれど、「君に賭けて誓う」とか「君のためにやめるよ」とか言われたことをあっさり破った相手に、「あらあらいいのよ」なんて言えるわけがない。別れを切り出されても仕方ないくらいだ。だって、他でもない「彼女のため」にその約束をしたはずなんだから。それを反古にされたってことは、それだけ彼女のことを軽く見ていると思ってしかるべき。別れるか、知らんふりして取り合わないで付き合い続けるか、ふたつにひとつ。それで彼女は男を信じているふりをしたのだから、その人とは別れたくなかったんだろうなあ。
 浮気なんかもそうだけど、嘘は突き通せ。シラはきり通せ。知ってしまったらこっちはそれに見合った報復、乃至は決断をしなくちゃならないんだからと私なんかは思う。この場合、男は約束を破ったことをわざわざ知らせになんかこないほうが良かった。自分で自分をきっちり叱咤し、二度と同じことをしないでいてくれればよかったのだ。それが出来ない男だからこんな風に謝りに行ったんだろうけど、それって男の自己満足だよなあ。

 本ブログ 読書日記
評価:
太宰 治
筑摩書房
¥ 5,880
(1998-06)
2007.06.19 Tuesday * 21:26 | 国内その他 | comments(0) | trackbacks(0)
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