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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『カカオ80%の夏』永井するみ
評価:
永井 するみ
理論社
¥ 1,365
(2007-04)
 主人公の凪(なぎ)は女子高生。突然書置きを残して姿を消した同級生、雪絵を探すことになる。凪と雪絵は特別親しかったわけではないが、雪絵が姿を消す前日に凪と一緒に買い物に出かけていたのだった。

 凪は周囲と群れるのをよしとしない、一匹狼タイプの大人っぽい雰囲気の女の子。かたや雪絵は真面目で清楚な普通のお嬢さんタイプ。正反対のふたりの間には特別な交友はなく、かといってそれで行方不明になってしまった同級生を放っておくことも出来ないところが凪にはある。一見きつく見られがちな凪の内面はとても繊細で、離婚した両親や、恋愛体質で娘よりも恋人に夢中になっている母親に対する孤独感などが、事件を追いつつ吐露されていく。
 とても読みやすくて先の気になる展開は、永井さんらしいリーダビリティだと思う。特に雪絵がモデルの卵や正統派お嬢様たちにネットを介して接触し、彼女たちに少々度を越した質問を投げかけたことの謎と、失踪の真相が絡まり始めるあたりからは一気読み。凪と馴染み店のマスターとの仄かに香る恋の予感もいい。少年少女向けということで、どぎつい犯罪シーンやはっきりとした恋愛のあれこれは出てこないけれど、老人介護や福祉についてさらっとした書き方ながら当事者の感情をしっかり書いてあったりもして、品良くまとまっていると思う。

 気になることがあるとすれば、ネットでメールを一度したくらいで即オフで会うってのは、無防備なんじゃ?ということくらいかな。老人介護に関する話も出てきて、そこで老婦人の危機管理の甘さを凪が内心で突っ込むんだけど、雪絵のことを仄めかされただけで嫌な感じの男の誘いに乗ってしまう凪も充分甘い。そうやって人のことはあれこれ気づいても自分のことは見えてないってのもまた、若さと青さを表しているのかもしれないけれど。
 単なる脇役だと思っていた登場人物が、読み終えたときには主人公と読者にとって大きな存在になっていて、それが意外で嬉しい半面もっと彼女たちの話を読みたくさせた。シリーズ化しても良さそうなキャラ配置だと思うんだけど、どうでしょう。マスターと凪の今後も気になるし。

 本ブログ 読書日記
2007.06.27 Wednesday * 12:56 | 理論社ミステリーYA! | comments(2) | trackbacks(1)
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2011.01.19 Wednesday * 12:56 | - | - | -
Comment
こんばんは。
実はこちらでタイトル見かけて読んでみました。
中味は読むと影響されちゃうので、初めて読みます。
凪の危なっかしい場面は、たぶんあえてそうさせて
若さを出しているって思いました。
トラバさせていただきました。
| 藍色 | 2007/07/31 3:04 AM |
こんばんは。TBありがとうございます。
凪が、最初は大人っぽく見えてたんですが、読んでいくうちにやっぱりまだ少女なんだなあって、青いところや不安定なところが感じられました。
あの危なっかしさも、そういうところからきているのかもしれませんね。
| たかとう | 2007/08/01 11:19 PM |









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カカオ80%の夏 永井するみ
装画は松尾たいこ。ブックデザインは守先正。理論社ミステリーYA!シリーズ。 主人公で語り手の私:三浦凪は群れること甘えることが苦手な高校2年生。夏休み、おとなしい福祉学科志望のクラスメート、笠原雪絵が書き置きを残
| 粋な提案 | 2007/07/31 2:58 AM |
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