* スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『“文学少女”と繋がれた愚者(フール)』野村美月
 ぼくは、右手を差し出した。
「友達になろう。いつか喧嘩しても、別れても、今、きみと友だちでいたい」 (本文より)

 “文学少女”シリーズ第三弾。今回は過去の出来事から脱しきれずに繋がれた者たちのお話。テーマとなる文学小説は、武者小路実篤の『友情』でした。『人間失格』『嵐が丘』ときて『友情』とは、どれも私のツボを刺激するチョイスです。私が『友情』を初めて読んだのは中学生の頃。当時は主人公の野島が嫌いでしょうがなかった。彼の、恋に対する滑稽なほどの一喜一憂ぶりが嫌で嫌で。でもそれは、同属嫌悪にも似た感情だったのかもしれません。中学生といえば思春期まっさかりですもんね。今読み返したら、野島を好きになれるかもしれません。大宮は多分、昔も今も好きだろうけど(笑) ああ、『友情』読みたくなってきたな。

 このお話のほうは、これまで主人公心葉(このは)と穏やかな関係にあった芥川君がメインにきています。背が高くて整った顔立ちで成績が常にトップの弓道部員。女生徒にもモテるし、級友たちからは誠実で真面目な人柄と目されている芥川君。そんな彼の中にも激しい苦悩があり、迸るような衝動もある。怪我をした心葉を保健室に連れて行った芥川が、そこで激しい感情を心葉にぶつけるシーンがあるんですが、彼が言った言葉とは裏腹に、それは助けを求める叫びのように見えました。
 優等生の芥川君の過去や家庭の事情もわかり、本当にこのシリーズに出てくる人たちはみな心に深い傷を持っているのだなとちょっと痛い気持ちにもなりました。けど毎回ラストで遠子先輩の「読み解き」で救われるんですよね。とはいえ、そんな遠子先輩にもきっとなにかあるはず。ほんのちょっと、さらっと撫でるくらいのわずかな文章で、遠子先輩の両親について触れている箇所がありました。今遠子先輩は下宿しているけれど、そこら辺と関係ありそうな……。それは最終巻あたりで明かされるんでしょうか。
 一巻で出てきた竹田千愛(ちあ)ちゃんの存在も気になります。このシリーズの中で一番好きなキャラは彼女かもしれない。この後いくつか巻を経た時に、彼女の存在がキーポイントになりそうな気がするんだけど、どうでしょう。

 ちょっと話は逸れますが、話の中で、文化祭で心葉たちが『友情』のお芝居をします。そこでの心葉:野島、芥川:大宮、遠子先輩:杉子というキャスティングがとても嵌っていて良かったです。心葉と芥川君がまさにぴったり。口絵イラストも大正ロマン風な衣装の場面で嬉しい。やっぱり袴姿はいいですよね〜。

 そしてラストの一文で驚きの事実が!
 今回とても頑張った心葉だけど、またツライ思いをしそうですね。でもその時には逆に、芥川君が支えになってくれるといいな。ふたりとも到底「お目出度き人」にはなれそうもないけれど。

【このシリーズの感想】
『“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)』
『“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)』

にほんブログ村 本ブログへ
JUGEMテーマ:ライトノベル
2007.12.08 Saturday * 13:18 | ライトノベル | comments(0) | trackbacks(0)
* スポンサーサイト
2011.01.19 Wednesday * 13:18 | - | - | -
Comment









Trackback URL
http://12key.jugem.jp/trackback/424
<< 『このミステリーがすごい! 2008年版』宝島社 | main | 『宇宙授業』中川人司 >>