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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『図書館戦争』有川浩
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 公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された近未来の日本。その強引な超法規的検閲に対抗するため、『図書館法』(通称「図書館の自由法」)が成立され、自衛隊にも引けを取らぬ実戦部隊が組織された。武力による図書の検閲・奪取に武力で抗戦する図書館部隊。主人公笠原郁は、学生時代に目の前で行われた抜き打ちの検閲の思い出を胸に図書館防衛員を志すが……。

 ノリはアニメか戦隊ヒーローもの。主人公他の登場人物たちも劇画チックな描かれ方で、まるでテレビを見ているよう。この本で初めて知ったんですが、『図書館の自由に関する宣言』というものが実在するんですね。今度図書館に行ったら、館内のどこかに掲げてないか探してみよう。
 実は私、郁のようなヒロインはあまり好きじゃなかったりします。まっすぐで後先考えずに突っ走って正義感が強くて。郁の同期の手塚がやはり郁のことを嫌っているのですが、彼の気持ちがよくわかる(笑) なんにも考えないで突っ走って、周囲のフォローで結果オーライ。なぜか上司や友達に愛されていて、本人はそれをちっとも自覚していない。逆に自分は虐げられているとさえ思っている。……なんて恵まれたヤツなんだー! 決められた規則を順守して枠の中でコツコツやるタイプにとっては、腹立たしい存在です(笑)
 そんなわけで「本が狩られる時代」と「武力による国と図書館の攻防」という面白い設定にもかかわらず、最初のほうがどうにも乗り切れずにいたんですが、手塚が出てきて彼に感情移入して読み出したらさくさくいけました。
 郁が防衛員を志すきっかけになった出来事に関しては、オチも見えるし意外性もないのですが、シビアな背景をそれと感じさせずに明るく読み流せるのは不思議な感覚でした。死者を出すほどの攻防戦が繰り広げられて、その唯一の生き残りである人物については重たくなってもよさそうなものなんですけど、読後感はすかっと爽快。登場人物たちのキャラ設定もそれぞれ魅力的でした。郁をしごく鬼教官の堂上、微笑みながらキツイことをさらりという小牧、郁の友人でどんな情報でも掴んでいる柴崎などなど。
 ちなみに、Yahooブックスで作者の有川さんがこの作品についてインタビューをされています。

 少年犯罪をきっかけにしてその犯人が借りていた図書のリストの提出を求める警察と、それを拒否した図書館に対して巻き起こる世論の攻撃など、今でも充分身近に見られる現象も書かれています。それに対してただ沈黙を守るのではなく、若い世代の子らが大人たちに討論を挑むくだりは、本書の中で一番面白く感じました。言論の自由や思想の自由は、他者との対話に寄って理解されるものではないでしょうか。
 どうか、焚書検閲などの図書狩りが横行する世の中が現実のものになどなりませんように。

『図書館の自由に関する宣言』
 一、図書館は資料収集の自由を有する。
 二、図書館は資料提供の自由を有する。
 三、図書館は利用者の秘密を守る。
 四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。

 図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る。
2006.07.26 Wednesday * 02:29 | 国内その他 | comments(2) | trackbacks(2)
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2011.01.19 Wednesday * 02:29 | - | - | -
Comment
こんばんは。
遅ればせながら、読んでみました。
こんな世界になったら、嫌ですね。 何事もなく好きな本を好きな時に選び読めることって、贅沢なのかもしれない・・・などとすっかりその気になって読んでました(笑)。
私、『図書館の自由に関する宣言』を知らなかったんですけど、ここだけ読んでもかなりカッコイイんですね。 何となく、図書レンジャーが生まれたのが分かる気がしましたw
| りる | 2007/10/04 11:32 PM |
こんばんは。
ね、カッコイイですよね「図書館の自由に関する宣言」。
図書館には足しげく通っているのに、この本を読むまでこういう文言が掲げられていることにまったく気づきませんでした。
本は知であり、文化であり。
それが奪われるようなことになったら、怖いですね。
| たかとう | 2007/10/05 12:09 AM |









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『図書館戦争』の感想
『図書館戦争』有川浩/メディアワークス/ 物語の幅が広いのは非常に良いエンタテインメントの証。ヒロインの造形に賛否両論ありながらも人気シリーズになっているのは、堂上曰く「っていうか、まっすぐだからな」という郁の性格が根底にあるからなんだと思う。  
| 空夢ノート | 2007/10/04 11:20 PM |
『図書館戦争』
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| 天竺堂通信 | 2008/08/01 3:58 PM |
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