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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『“文学少女”と穢名の天使(アンジュ)』野村美月
「才能なんて、とてもあやふやなもので、それを測る明確な方法なんて、これまでもこれからもないのに……。才能という幻想は、ときに凶器となり、人を傷つける。」(三章「天使は闇から見つめている」より)

 “文学少女”シリーズ第4弾。
 久しぶりにこのシリーズの感想を書きますね。クリスマス時期のお話です。心葉に想いを寄せるクラスメート琴吹ななせの親友夕歌が失踪し、その行方を捜す心葉とななせ。しかし、声楽に打ち込みオペラの歌姫となる夢を持っていた夕歌の秘密が見えてきて……というお話。今回の話のモチーフは『オペラ座の怪人』でした。それとオペラの「トゥーランドット」も大きく絡んでいます。ファントムは誰なのか、ラウルは誰か、そしてクリスティーヌはどうなったのか。かつて世界中に衝撃を走らせた“無性の天使”と呼ばれる歌い手は、なぜ姿を消したのか。それらがもつれ合う中、夕歌の失踪を探る心葉の過去にもチクリチクリと触れられます。
 ななせの親友の失踪についてのお話なので、今回はななせが前面に出てきていした。片思い中の心葉との距離も少し近づき、心葉を好きになるきっかけとなった二人の出会いもこの巻でようやく明かされました。対して遠子先輩は受験生ということもあり、作中の出番は激減。ラストの謎解きにはしっかり登場しましたけどね。
 このシリーズではモチーフとなる文学作品が結構シリアスなものばかりなので、自然と登場人物たち周辺(特に事件絡みで出てくる人物)もヘヴィな事情を持っていることが多いんですが、今回の夕歌のような状況はとても辛いですね。辛くて暗くて、どこにも救いが無いように見える分、“天使”が最後に夕歌に賛美歌を歌った場面が哀しくも美しかったです。“天使”は去って行きましたが、いつの日かもう一度歌ってくれるといいな。
 この巻のもうひとつのテーマは「才能」だと思います。才能ってなんでしょうね。可能性なら誰にでもあるでしょうが、才能となるとあまりにあやふやで心許ない感じがします。読後に思ったのは、自分を信じられる力や夢に向かって頑張り続けられる気力が、努力を伴い、やがて才能と呼ばれるようになるのかもしれないな、ということでした。

【このシリーズの感想】
 『“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)』
 『“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)』
 『“文学少女”と繋がれた愚者(フール)』

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2008.07.02 Wednesday * 19:24 | ライトノベル | comments(0) | trackbacks(0)
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