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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『扉は閉ざされたまま』石持浅海
扉は閉ざされたまま扉は閉ざされたまま
石持 浅海

祥伝社 2005-05
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 久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに集った七人の旧友たち。当日、伏見亮輔は客室で事故を装い後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。なにかの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者の一人碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いてゆく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。

 クローズド・サークルものですね。普通、殺人なり事件なりが起こってその現場のドアに鍵がかかっていたら、作中人物たちは扉を斧やなにかで叩き壊して中に踏み込みますよね。この話は違います。中に居るはずの人物が眠っているのか、急病で倒れているのか、それとも死んでいるのかの確認がとれないことと、扉そのものに価値があって壊すに壊せない、という理由から、「扉は閉ざされたまま」話は進行して行きます。
 ふたりをのぞいた登場人物たちが伏見や優佳の手のひらで転がされるように、言動をコントロールされていく様子が面白かったです。犯人 VS 探偵の息詰まる攻防を、他の登場人物たちはなにひとつ気づいていないってところが。それに対する事細かな伏見の緊迫した心理描写も。

 倒述ミステリの形式をとっているので、初めから犯人が誰なのかそしてどうやって殺されたのかはわかっています。そうするとどうしても犯人側に肩入れして読んでしまうんだけど、今回は探偵役の優佳がなんだか怖かったというのも伏見ガンバレ目線で読むことに追い討ちをかけました(笑) 綺麗で頭が良くて冷静で自分の感情も表情も理性でコントロールできている優佳の設定は、さほど奇異には思わなくて(本格ミステリの探偵たちってエキセントリックな人が多いし)、ラストシーンまで読んで「うわ……怖っ」と。だって何年越しの想いですか。優佳の性格からして、そして作中でも優佳自身が言っているように、他の男性を好きになったり付き合ったりしてないんですよね。怖いですよ、これは。伏見や優佳本人は、優佳のことを「賢く物事に動じず冷静で冷たい」人間だと思っているようですが、こりゃものすごく情念の塊みたいな人じゃないでしょうか。じゃなかったら、こういうオチにはならんでしょう。プライドと情念が理性と賢さで律せられるとこういう形で結実するのか、っていう。
 伏見がなぜ可愛がっていた親しい後輩の新山を殺さねばならなかったのか、という点が一番の謎であり私の期待していた部分だったのですが、そこの真相がちょっと肩透かしだったかな。けど、ああいう経験がある人が読んだらいくらか首肯できるのでしょうか。
 これらのすべてをひっくるめても、伏見と優佳の心理戦の応酬はとても読み応えがあって面白かったです。殺害現場を一度も見ることなく、登場人物の性格や言動などからの些細なひっかかりから疑問が生じ、それがやがて推理へと変わってゆく過程とか。
2006.01.22 Sunday * 00:45 | 国内ミステリ | comments(0) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 00:45 | - | - | -
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