* スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『やんごとなき読者』アラン・ベネット(著)、市川恵里(翻訳)
評価:
アラン ベネット
白水社
¥ 1,995
(2009-03-11)

 読書の魅力とは、分け隔てをしない点にあるのではないかと女王は考えた。文学にはどこか高尚なところがある。本は読者がだれであるかも、人がそれを読むかどうかも気にしない。すべての読者は、彼女も含めて平等である。文学とはひとつの共和国なのだと女王は思った。(本文より)

 エリザベス女王がふとしたきっかけで読書の楽しさを知り、そしてどんどん本の虜となっていくお話。もちろん、フィクションですが、本当にこんなやりとりがあるのかもしれないと思わせるものでした。コテコテした修辞もなく平易な文章で読みやすく、気持ちの良い軽さのある内容でした。
 女王が次第に本を読むことの魅力にとりつかれていく過程は、本好きなら思わず「そうそう」共感する場面が何度もあるし、読書に耽溺するあまりに起こる弊害も、彼女の公務と比べたら規模や重要性は変わるものの、充分身に覚えのあるものです。

 本文や解説などを読むと、英国や欧米では上流階級の人たちの間に趣味で読書を楽しむという習慣はあまりないようで、この作品の中でも女王の読書熱をやっかいなものとして周囲が排除しようと動きます。同じく読書を趣味とする女王の侍従をクビにしてしまったり。
 途中まではただ微笑ましかった女王の読書熱が、中盤から無理解な周囲との軋轢を起こし、真面目で聡明な彼女はそれに抵抗しつつも、思索に耽るようになります。それまで50年以上の在位期間を、義務と責任と、そこにあとから付随する喜びとでこなしてきた女王が、初めて自らの内面を見つめ、どこに向かって進むのか考え出す。ユーモア小説に見せた立派な成長物語です。
 ラストは、まさかそうくるとはまったく予想していなかったオチで、小気味良く爽快ですらありました。

にほんブログ村 本ブログへ
【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集
JUGEMテーマ:読書
2009.06.11 Thursday * 20:31 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* スポンサーサイト
2011.01.19 Wednesday * 20:31 | - | - | -
Comment









Trackback URL
http://12key.jugem.jp/trackback/610
<< 『少年少女飛行倶楽部』加納朋子 | main | 『夜の光』坂木司 >>