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評価:
フィリップ クローデル
みすず書房
¥ 2,520
(2006-11)
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寓話のような短編から詩、不思議な言葉で書かれたなんとなく雰囲気で読む掌編まで、さまざまな文章が詰め込まれた一冊。時にはシニカルに、時には夢見るように。この著者の書いた
『リンさんの小さな子』がよかったので、これも読んでみたんだけど、あちらが悲しいおとぎ話のような雰囲気だったのに比べて、こちらに出てくる子供たちは随分と冷めている印象。
子供に諭される不器用な妖精、悪夢の狩人、人々が優しくなるワクチンを開発しようと頑張る女の子、家族にも級友たちにもいじめられて本の世界に行ってしまう男の子といった、奇妙だけれど引き込まれる話の中に、死や絶望、いじめ、格差、戦争、病気などのキーワードが埋め込まれていました。作者はこれを愛娘のために書いたそうですが、なかなかにブラックな話も出てくる本なので、何歳くらいの子に読ませるのにちょうど良いのか、ちとはかりかねます。
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