* スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『幸福ロケット』山本幸久
幸福ロケット幸福ロケット
山本 幸久

ポプラ社 2005-11
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 山田香な子は、少々クールで本が大好きな小学5年生。お父さんの仕事の都合で、半年前に葛飾区のお花茶屋に引っ越してきた。それというのも両親の仲が良すぎて、父が母と少しでも長くいたいと母と同じ職場に転職してしまったのだ。クラスで隣の席の小森(通称コーモリ)とは、趣味が違うしあまり話したこともない。香な子にとって、これといって特徴のある男の子ではなかったのだけど、ある日クラスで可愛い子のグループに属している町野さんに小森をデートに誘って欲しいと頼まれてからというもの、なんだか気になる存在になってきて……。

 CDにジャケ買いがあるように、表紙に一目惚れして手に取るものがあります。この本の表紙、子供のころに読んだ童話の挿絵みたいでなんだかすごーく気になってました。ポプラ社から出ているので一応児童書の括りでしょうが、大人が読んでも充分楽しめる可愛くてちょっとせつない初恋物語だと思います。逆に大人が読んだほうが、甘酸っぱい感傷に浸れるんではないかと。
 爽やかな読後感、やわらかくて素直な文章、真っ直ぐな登場人物たち。いや〜良かった! なんていうか、初めから終いまで気持ちよく読めました。装丁と内容がぴったり合っていて、とても可愛らしい一冊。
 読書好きでしっかり者の香な子には、本好きな人は自分を重ねて見ちゃうかも。ロアルド・ダール、星新一、平井和正の「ウルフガイ」シリーズ、半村良などなど。香な子が作中で読んでいる本の数々が、自分の小学生から中学生の頃に読んでいたものと一致して「そうそう、それ読んだ読んだ。ワクワクするよね」と、本好き特有の、同じ本を読んだ人に対する親近感が湧いたり。最初はまったく本を読んだことのなかったコーモリが、だんだん香な子によって本に興味を持ち始めるところも、なんだか自分が薦めたみたいで嬉しい。オススメの本を人に「面白かった〜」って言ってもらえると、どうしてあんなに嬉しいもんなんでしょう(笑)。
 そして、コーモリ! 普通のなんでもない男の子が、話を読み進めていくうちにどんどん格好良く見えてくるんですよ。電車の中でのやり取りなど、香な子と一緒になってときめいてしまいました。クラスメートにからかわれそうになったら、さりげなく話を逸らして庇ってくれたり、病気で入院しているお母さんを毎日見舞って元気づけながら、ひとりで留守を守ったり。コーモリは絶対将来イイ男になりますよ。
 明るいばかりのお話でもなく、コーモリのお母さんの病気のことや、香な子のお父さんが脱サラした本当の理由など、話が浮つかないエピソードもあります。それに直面するときの流れにまた、ぐいぐいと引き込まれるのです。
 香な子の担任鎌倉先生は元モデルでカッコイイ女性で、そんな先生に一目惚れしちゃう香な子のママの弟は自称漫画家の面白い若者です。恋のライバル町野さんも、一見自己チュウに見えるけど恋に一途なだけでラストに株が上がったし、登場人物たちがみんなどこか魅力的。コーモリのお母さんが描く香な子の将来の似顔絵が、なんだか印象に残りました。5年後、10年後、ふたりはどんな風に成長してるでしょうか。その後の話も読みたいなあ。
2006.07.22 Saturday * 18:28 | 国内その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* スポンサーサイト
2011.01.19 Wednesday * 18:28 | - | - | -
Comment









Trackback URL
トラックバック機能は終了しました。
<< 『Q&A』恩田陸 | main | 『風に舞いあがるビニールシート』森絵都 >>