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評価:
リチャード プラット
あすなろ書房
¥ 2,625
(2006-05)
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旧約聖書の時代から既に存在していたスパイ。この本は、スパイとはなにか、から始まって実際に使われていたスパイ道具の数々や有名な実在のスパイの話、暗号解読機器、盗聴器やそれをどうやって仕掛けるか、そしてスパイ活動の内容まで。これ一冊あればスパイのなんたるかが分かる本。写真や図が多いので見て楽しめます。きっと私達には文章だけではその道具の様子が伝わり難いから、これほどたくさんの写真が使われているのでしょう。とても面白い一冊でした。
女スパイ、マタ・ハリについては有名ですが、フランス王朝時代にいた女装の男スパイについては知りませんでした。周囲も彼を女性だと思っていて、その正体がばれた時にはみな驚いたとか。007シリーズのジェームズ・ボンドのモデルになった人物や、400以上の暗号を送り続けた女スパイなど、実在した人物の話が興味深かったです。二重スパイと彼を信じていなかった雇い主(某国)のやりとりとか。事実は小説より奇なり。
スパイ道具の数々も、人間の知恵やアイデアが結集されていて面白いです。砂漠や砂浜に残った足跡から靴底を判明できないように考え出された裸足の跡がつく靴底だとか、二重になったトランプカードの中に隠された紙片だとか、手のひらにすっぽり入ってしまう小型カメラだとか。
巻末には現代の産業スパイについても載っていて、スパイについての法的規制がない日本は、とても怖い状況にあるんじゃないかと思わされました。こんなに当然のようにスパイが暗躍しているとは。
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