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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『WILL』本多孝好
評価:
本多 孝好
集英社
¥ 1,680
(2009-10-05)

 死者は一人で起きたりはしない。生き残ったものが死者を起こすのだ。(Act.1「空に描く」より)

 『MOMENT』が好きでそこから本多さんの作品に入った身としては、その続編にあたる作品が出ると聞いて「そりゃ絶対買わなくちゃ!」とめちゃめちゃ楽しみにしていました。『MOMENT』が大学生の神田が主人公で死にゆく人々の最後の願いを聞き届ける役割を果たしていたのと対になるように、本作では神田の幼馴染・森野が葬儀社の人間として人が亡くなった後の遺族の話を聞く立場。作中の時間経過も前作から7年後の世界。神田も学生ではなくなり、森野との仲も変化していました。連作短編でひとつの長編になっています。

■「空に描く」
 両親を亡くし葬儀社を継いだ森野の許へ、高校時代の同級生・佐伯杏奈が父の葬儀を頼みにやってきた。滞りなく葬儀を終えた後日、再び杏奈が現れて甥っ子が父の幽霊を見たらしいと話し始める。

■「爪痕」
 既に葬儀を終えた人物の葬儀を、喪主ではない女性からもう一度自分を喪主としてやり直して欲しいと依頼された森野。彼女は一体何者なのか。故人との関係は。

■「想い人」
 森野の前に有吉里子という老婦人が現れ、15年前に森野のところで葬儀を執り行った夫の生まれ変わりに出会ったと相談にきた。相手は15歳の少年で、里子と夫しか知らないようなことを老人のような口調で話すという。森野は里子が騙されているのではとその少年について調べることにする。

■「空に描く(REPRISE)」
 再び佐伯杏奈がやってきた。葬儀からもう随分経つというのに、今になって母親が毎日泣き続けているという。少しおかしくなってしまったのか、それとも件のことでなにか思うところがあるのか。森野はもう一度杏奈の父親について調べることにする。

 お気に入りは「想い人」かな。
 随所に本多節ともいえる本多さんらしい文章や言い回しがあって、楽しめました。全体を通して神田と森野のじれったい関係が描かれていて、読んでいて「もうごちゃごちゃ考えないで神田のとこ行けよ!」と何度思ったことか(笑)

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2009.12.18 Friday * 22:08 | 本多孝好 | comments(2) | trackbacks(0)
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2011.01.19 Wednesday * 22:08 | - | - | -
Comment
はじめまして

このあいだ読みました。
本多孝好の文体はやわらかくて、スタイリッシュです。

自分も「想い人」が良かった。
少年の秘めた想いが、心に響きました。
| 51 | 2010/01/03 7:52 PM |
51さん、はじめまして。

本多さんの文章は、すっきりしていて透明感があり、読んでいて心地良いなあと思います。最近少しいろんな作風にチャレンジしているようにも見受けられますが、やっぱりこういう雰囲気の作品が一番好きだなあ。

「想い人」の少年は、きっとイイ男になると思います。
| たかとう | 2010/01/06 6:16 PM |









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