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評価:
湊 かなえ
双葉社
¥ 1,575
(2010-06-02)
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結構早いペースで新刊が出ている湊さんの最新刊。
読了後、『夜行観覧車』というタイトルの意味するところを考えていました。この話に出てくるいくつかの家族達それぞれ個人が見えている景色は立場によって違うけれど、家族という箱に一緒に入って夜の闇の中をぐるぐると回っている観覧車のよう。どこか遠くに明かりが見えればいいけれど、それに気づかないままぐるぐると回り続けるのかもしれません。あるいは乗り合わせたことそのものについて考え、何かを吹っ切るか。
物語は、とある高級住宅地で起こった殺人事件に関係する人々の群像劇。章ごとに視点が代わります。殺人を犯してしまった加害者と被害者は蚊帳の外で、彼らの家族、親戚、近隣住民らそれぞれの心情が赤裸々に描写されています。相変わらずのイヤミスだなあと思って読んでいたら、ふっと救いのようなものが見えてきて戸惑い、しかしそれすらも最後に皮肉に仕上げてくるあたりがこの作者らしいと思いました。
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