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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『エクソシストビギニング』
エクソシスト ビギニングエクソシスト ビギニング
ステラン・スカルスゲールド レニー・ハーリン ジェームズ・ダーシー

日活 2005-04-08
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 第二次大戦末期。ランケスター・メリン神父は、生まれ故郷のオランダでナチスの残虐行為を目の当たりにし、神への信仰を見失ってしまう。オランダを離れ放浪の旅をしていたメリンはやがてアフリカに流れ着く。メリンはそこで古美術収集家の男と出会い、彼の依頼で教会遺跡の発掘を行なっているイギリスの考古学調査隊に加わることに。発掘現場でメリンは、理想に燃える若き神父フランシスやドクターのサラと出会い、さらには村の少年ジョセフとも心を通わせていく。しかし、やがてジョセフの周囲で奇怪な事件が頻発するようになるのだった。

 WOWOWでやっていたので録画して見ました。家族が嫌がるので、ひとりでこっそりと(笑)
 そうですねえ、あんまり怖くなかったな。オリジナルの『エクソシスト』は、昔テレビの「金曜ロードショー」かなにかで見て、やたらと怖くてインパクトがあったんだけど。そういや、数年前に公開されたノーカット版(ディレクターズカット版だったっけ?)は、見に行ってないです。
 私くらいの年代の人は、ホラー映画といえば『エクソシスト』と『オーメン』が二大巨頭だったんじゃないでしょうか。あと『キャリー』とか『シャイニング』とか『死霊のはらわた』とか。そのせいかわからないんですけど、これを見ながら第一作目の『エクソシスト』の内容を頭の中で再生しようとすると、出てくるのは『オーメン』のショッキングなシーンばかり。
 この映画ではオリジナル版の更に25年前に話が遡ります。『エクソシスト』で可憐な少女にとりついた悪魔パズズと壮絶な戦いを繰り広げたメリン神父。彼が悪魔と初めてあいまみえたときの話。
 アフリカの部族と軍の衝突が、どうも消化不良というかすっきりしない感じ。「メリン神父と悪魔の戦いの裏でなにやらごちゃごちゃやってるなあ」くらいの印象でした。見ようによってはもっと深読みも出来るんだろうなというのはわかるんだけど、ホラー映画は怖くてなんぼだと思うので、もっとこうジワリゾクリとくるものが欲しかった。メリン神父と悪魔の戦いも、ただひたすら神に祈るだけで勝てちゃうのが「そんなんでいいのかよ!」ってちょっと不満。信仰を取り戻すのがメインの話だとしても、それで勝てちゃったら信仰を捨てずにずっと神に仕えていた人が簡単に殺されちゃうのが納得いかん。神様ってのは不公平なお方ですな。
 しかし、映像はなかなか美しかったです。光と影のコントラストが取れていて。冒頭の、死体が逆さ磔にされた十字架が一面に立っているシーンは圧倒されたなあ。

エクソシスト ビギニング@映画生活
エクソシスト ディレクターズカット版エクソシスト ディレクターズカット版
エレン・バースティン ウィリアム・ピーター・ブラッティ ウィリアム・フリードキン

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2006.03.06 Monday * 00:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『夜市』恒川光太郎
夜市夜市恒川 光太郎 角川書店 2005-10-26売り上げランキング : おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools

 第134回直木賞候補にも挙げられた、第12回日本ホラー小説大賞受賞作。表題の「夜市」と「風の古道」の二作から成っています。
 ■夜市
 今宵は夜市が開かれる。
 大学生のいずみは、高校時代の同級生裕司から夜市に行こうと誘われる。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。

 雰囲気が良いですね。異形の者や不思議な商品の並ぶ、夜市。その市の描写がしっとりとしていてどこか懐かしい。よく「髪は鴉の濡れ羽色」なんて言いますが、夜の暗闇には湿った匂いがしますよね。そんな湿り気を含んだお話だと思います。この本の表紙のように、暗闇の中に朱やオレンジ色したカンテラの明かりがぼうっと浮かび上がっている中を、自分も裕司に手を引かれて歩いているような。
 夜市では、お金さえ払えばなんでも手に入る。それはなにも形あるものばかりではない。しかし、なにかを買わなければそこから出ることは出来ない。過去に一度迷い込んでしまったことのある裕司は、そこから出るためにあるものと引き換えに野球の才能を買ったという。そしてそれを悔いて取り返したいと思っている。いずみにしてみれば迷惑な話ですが、これまでの裕司の鬱屈とした思いを考えるとそういう行動にも出ちゃうかな。誰も信じてくれなかったことの、証人になって欲しかったのじゃないでしょうか。
 話の途中までは、冒頭を読んですぐに想像のつくものでした。けれどその先の、裕司が過去に売ってしまったモノのその後とこのお話の終わり方が好みでした。ひとつの出来事の表と裏の両面を描いた話って好きなので。物語が閉じてゆく余韻もよかったです。
 もし私が誰かに夜市に誘われたら……う〜ん、怖いけどちょっと行ってみたい気もするなあ。
 ■風の古道
 7歳の頃、不思議な道に迷い込んだことのある「私」は、12歳の夏休みにその話を友人のカズキにしてしまう。ふたりしてもう一度その道に入り込むことに成功するが、そこは人ならぬ者たちの通る道だった……

 古道は、堅固で透明な膜に隔てられた異世界といったところでしょうか。そこにはお化けや鬼や亡者もいるし、茶屋や宿屋を営んでいる者たちもいる。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」のような雰囲気もあり、少年たちの冒険物として読み進めていたんですが、途中からは単なるほのぼの冒険物ではない、不思議な重たさと悲しさのあるロードムービーのようでした。そういえば、『スタンド・バイ・ミー』も死体や拳銃が出てきて、物語に影が差してましたっけ。
 死んだ人間を生き返らせてくれるという噂のある寺へ、古道で知り合ったレンという青年と共に主人公は向かいます。途中、現世へ帰れる場所があったのですが、「私」は古道の中に戻るのです。
 このレンという人物がですねー、なんだかとても良いのですよ。
 強い個性とかアクだとかはないんだけど、妙に印象に残る。水のような、風のような、そんな人。漆原友紀の漫画『蟲師』の主人公ギンコを思い出しました。旅の後半、彼の生い立ちがわかると、なんともやるせないような気持ちになります。あちら側から出られずに、ずっと古道の中を旅し続けるレンはいつまでそうしているんだろうと。茶屋や旅籠があるくらいですから、誰かいい人と出会って幸せになってくれるといいんだけど。
2006.03.03 Friday * 00:53 | 恒川光太郎 | comments(2) | trackbacks(2)

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