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評価:
あさのあつこ(小説家)×福江純(天文学者)
メディアファクトリー
¥ 945
(2007-11-28)
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作家あさのあつこさんと天文学者の福江純氏が、対談形式で近未来の世界や宇宙、はては狼男やドラキュラについてまで語っている本。
面白いのは、あさのさんと福江さんの視点の違いが随所で見られたところ。
例えば第一章で現在話題の地球温暖化について語っているくだりで、人類滅亡の可能性もあるという話になって「どっちにしても人類滅亡しちゃうってこと!? 大変じゃないですか」というあさのさんに、「あれっ? あさのさんは地球の未来を気にしてたんじゃないんですか? 心配なのは、人類の未来?」と福江さんが尋ねる場面があります。
あさのさんや私たち一般人は「地球の未来=人類の未来」という目線で見ているけれど、科学者の福江さんはあくまでも地球を主体として見ているから、さらっと人類滅亡の可能性も口にする。人類が生きていけなくなるほどの環境の変化も、地球にとっては自律調整しているだけだから大丈夫、という話になるんです。ふたりのそういうズレが、逆に話を広げていくきっかけにもなるし、予想外の方向へ盛り上がったりもして面白かった。
大体は、あさのさんがロマンティックな想像の羽を広げていくと、福江さんが科学者の目でそれが実際にはありえるのかどうかの解説をするパターン。でもこの福江さんも結構アニメやガンダムに詳しいようで、宇宙で生活できるかどうかの話ではガンダムに出てきたサイド7(スペースコロニー)を例に出して話してました。ガンダム世代としてはわかりやすかったです(笑)
狼男やドラキュラについての部分は、実際に全身狼の毛に覆われたり牙が生えてきたらものすごい痛みを伴うだろうとか、吸血鬼に血を吸われて吸血鬼になってしまう者と死んでしまう者がいる場合、それは吸血ウィルスに感染するということなんじゃないかとか、ホラーとしての狼男やドラキュラを違う視点でみるとなかなか興味深いですね。
あとは、私は「時間」に関して語られた本や映画が好きなので(時間SFものとか特に)、最終章でのタイムトリップは可能かどうかのところが一番の読みどころでした。相対性理論と聞くと、ときめきます(笑) 「ウラシマ効果」とか。理論上ではタイムトリップは可能なんですよね。光速ロケットが製造されれば。私が生きている間にタイムトリップができるだろうか……。
本書の対象年齢は小学生以上なのかな? 子供から大人まで楽しめる近未来入門でした。
【目次】
第一章 地球はどうなってしまうのか?
第二章 人間が宇宙で暮らすとしたら?
第三章 ドラキュラと恋に落ちる日
第四章 宇宙人はきっといる!
第五章 タイムトリップはできるか?
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