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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 大晦日のご挨拶
年の瀬にきて体調を崩し、読書も出来ず、更新も出来ずで締まらない2008年ラストになってしまいました。
今日は年越し寒波がきていて、とても寒いですね。
ここを覗いてくださったみなさんも体調にはお気をつけて。
良いお年を。
2008.12.31 Wednesday * 21:15 | 雑記 | comments(2) | trackbacks(0)
* 『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信
評価:
米澤 穂信
新潮社
¥ 1,470
(2008-11)
「バベルの会はこうして消滅した」

 米澤さんて、女性視点の語りが巧いなあと思った一冊。「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」の5編が収められた短編集ですが、どれもラストのオチがぴたっと嵌って気持ちいい。みな登場人物もシチュエーションも異なっているけど、どの話にも「バベルの会」というとある大学の読書倶楽部が、各話をうっすらリンクさせるキーワードとして出てきます。
 本好きとしては、ふんだんに出てくる書名も思わずチェックしちゃいますね。未読のものは読みたい本リストに入れました。 

■身内に不幸がありまして
 5歳のときに丹山家に使用人として引き取られた、孤児の村里夕日。彼女が心酔していた吹子は丹山家の跡取りとして美しく賢い令嬢に成長した。吹子が大学に進学した夏、とある出来事が起こり、夕日は人に言えない悩みに苛まれ……。

■北の館の罪人
 六綱家に妾の子として訪れた内名あまり。母を亡くしたあまりは、黒窓館と呼ばれる別館で幽閉されている早太郎の世話をすることになり、外に出られない早太郎に頼まれて、酢や糸鋸などの雑多な物をたびたび外へ買いに出るのだが……。

■山荘秘聞
 それまで使えていた家が傾き、それまでの主の紹介で辰野家の別荘に管理人として着任した屋島。優秀な彼女は常にベストの状態で別荘を管理していたのだが、一年経っても誰も訪れず……。

■玉野五十鈴の誉れ
 跡継ぎの男子がいない小栗家の一人娘として、常に厳しく祖母に躾けられていた純香。十五の誕生日に人を使うことを覚えるようにと祖母から贈られたのは、純香専属の使用人・玉野五十鈴だった。純香と五十鈴は密かに親交を深めたのだが、純香が大学生となったある日……。

■儚い羊たちの晩餐
 荒れ果てたサンルームの円卓に置かれた一冊の日記帳。その最初の頁には「バベルの会はこうして消滅した」という走り書きが残っていた……。

 一話一話の内容も全体を最後の話で大きく一括りにする構成といい、丸々一冊好みの本でした。文句なしに面白かったです! それにしても米澤さん、お嬢様が好きですね(笑)

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2008.12.19 Friday * 22:24 | 米澤穂信 | comments(2) | trackbacks(1)
* 『十三回忌』小島正樹
 その地域にとても強い権限を持っている一族の当主の屋敷で、7月17日になると人が死ぬ。その日は当主の妻の命日で、一周忌、三回忌、七回忌にそれぞれ当主の妾腹の娘達がひとりずつ死んだのだ。ひとりは守りの木と呼ばれるモニュメントの先端に串刺しの形で、ひとりは木に括りつけられた格好で首を斧で斬りおとされて、ひとりは滝に打たれ上下の口唇を切り取られて。今年の十三回忌には何が起こるのか、どのようにして娘達は殺されたのか――。
 繰り返される殺人事件、それ自体は思いも寄らない状況でトリックに対する関心が高まるんですが、登場人物の描写が弱く中心となる人物がはっきりしていないことから、読んでいてもどこに視点を定めてよいのやらわからない状態が続きました。中盤になって探偵が登場することで多少空気は変わるのですが、ちょっとすわりが悪いというか落ち着かないし、かといって最初からずっと登場している刑事達を中心に読むと、警察内部の確執が中途半端に描かれていて、カタルシスまで行き着けません。
 でも、トリックはバカミスすれすれの奇抜なもので、物理トリックともうひとつあっと言わせる仕掛けがあるのは、面白く感じました。登場人物たちのドラマがもっと読ませてくれるものだったらなあ。あれもこれもと、せっかくふんだんに織り込まれているものが、かえって全体をごちゃごちゃさせていたのがもったいない気がします。

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2008.12.19 Friday * 00:24 | 国内ミステリ | comments(0) | trackbacks(0)
* 『和の切り紙』我那覇陽子
評価:
我那覇 陽子
雄鷄社
¥ 1,260
(2008-11)
 様々な切り絵の写真とその図案の型紙が巻末についている本。春夏秋冬に分けたその季節らしい図案の切り絵を眺めているうちに、ポチ袋や小紋柄の封筒など生活の中でも使える切り絵が紹介され、巻末にそれらの図案の型紙がついているので、興味のある人はそのまま自分でも切り絵を楽しめるという構成です。
 懐かしいなあ、子供の頃折り紙でよくやったなあ、などと思いながら眺めていたんですが、著者が使っているのは和紙。これがとてもさくさく切りやすいと書いてあって、ちょっとだけ自分もやってみたくなりました。でも買ってくるまでにはいかないんだよなあ。桜や菖蒲、雪の結晶など、美しいものが多かったです。

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2008.12.18 Thursday * 18:33 | 国内その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語』中村弦
「笠井君を異端者として排斥することはたやすい。でも、それはしたくない。彼の建築が国家や社会に実際的な利益をもたらすことはないかもしれんが、どこかにいるひとりの人間のためには役に立つにちがいない。(後略)」(「IV 製図室の夜」より)

 第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
 明治・大正を舞台に依頼者の望んだとおりの、あるいは依頼者自身も気づいていないそれ以上の建物を設計する孤独な建築家・笠井泉二の物語。ある老子爵婦人は「生きている人間と死んでいる人間とがいっしょに暮らすための家」を、ある探偵作家は「永遠に住める家」を笠井に依頼する。建築家の常識から外れた建物を考案する笠井。
 直接彼が建築に携わる様子を描いた話もあれば、話の登場人物が済む不思議な屋敷としてその影が見え隠れするだけの話もあり、笠井泉二という建築家を様々な角度から眺めるような、そんな構成になっていました。中学時代からの親友や義理の兄、鹿鳴館の次席館員、失踪事件を調査する警部補など、周辺人物の視点で語られているからかな。
 依頼者たちの思いはそれぞれで要求する建築物も異なっているものの、出来上がった建物とそれを明け渡された後の依頼者たちの様子を見ると、みなどこか同じ方向を向いているように感じました。人の心が癒され慰められる建物とは、どんな形をしていようがその人の心の置くの大事な部分を囲ってくれるものなのかもしれませんね。タイトルにもあるように、要所要所で天使が繰り返しモチーフとして出てくるのも、そういった印象を持つ要因になっている気がします。
 続編の出来そうな終わり方なので、笠井が伝説の建築家となり伝奇ロマンとして話が続いていくのも面白そうです。装丁もまた内容とよく合っていて素敵。

 ※新潮社の公式ページで、本書の試し読みが出来ます→こちら

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2008.12.16 Tuesday * 19:43 | 国内その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『さみしがりやのサンタさん』内田麟太郎(作)、沢田としき(絵)
評価:
内田 麟太郎,沢田 としき
岩崎書店
¥ 1,365
(2004-11)
 世界中の子どもたちにプレゼントを配り終え、やっと自分の家へ帰ってきたサンタさん。「明日になったら、どの子も飛び上がるぞ」と満足しているはずなのに、なぜだかぽろりと涙がこぼれます。子供たちが喜ぶことをして嬉しいはずなのに、どうして涙が出て寂しいのか、自分でもわからずにサンタは戸惑います。部屋でくつろいでも寂しい。温かい飲み物を飲んでも寂しくて仕方ないのです。するとそこへ扉を叩く音が。大男がサンタの家にやってきました。彼を家に入れてあげたサンタは……。
 普通のクリスマス絵本とはちょっと違った角度から書かれていて面白かったです。私たちはサンタがプレゼントをくれるけど、クリスマスにひとり駆け回っているサンタのクリスマスってどんな様子なのか、あまり考えたことがありませんでした。喜んでもらえることを想像するのは楽しいけれど、彼自身はプレゼントをもらうこともなく、一緒になってお祝いしたり騒いだりすることもないんですよね。やさしい気持ちになれるラストがよかったです。

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2008.12.16 Tuesday * 00:37 | クリスマスの絵本 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『おやすみなさいサンタクロース』舟崎克彦(文)、小澤摩純(絵)
評価:
舟崎 克彦,小澤 摩純
理論社
¥ 1,365
(1990-11)
おやすみなさいサンタクロース
 世界が少しずつ変わってきたことを感じているサンタクロース。ソリで空を飛んでいるとなんだか空気が排気ガス臭いし、今までと同じプレゼントをあげても、もう前のように子供たちが喜んでくれなくなってきている。みんなが喜んでくれないプレゼントは意味がないのじゃないかと悩んで、クリスマスイヴの晩にトナカイが呼びに来ても考え事をしながら出掛けます。
「贈りものは、どんな子どもたちにもよろこばれて、この世で一番たいせつなものでなくてはならん」

 けれどそれがなんなのか思いつきません。プレゼントを配る時間にもリミットが迫っています。その時はっとひらめくものがあって……。さて、サンタクロースが見つけたプレゼントはなんでしょう。私は読んでいて「おっと、そうきたか」と思いました。メッセージ性のやや強いお話ですね。小澤さんの絵がとっても素敵。画集のように眺めていたいくらいです。

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2008.12.16 Tuesday * 00:12 | クリスマスの絵本 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『ターシャテューダー クリスマスのまえのばん』クレメント・クラーク・ムア(詩)、ターシャ・テューダー(絵)
評価:
クレメント・クラーク ムア,ターシャ テューダー
偕成社
¥ 1,470
(2000-11-27)
 原題は“The Night Before Christmas”。クレメント・ムアの詩にターシャ・テューダーが絵をつけた絵本です。1999年に全面的に絵を描き直した新版だそうですが、良い意味で古い絵画を見ているような味わいのある絵ですね。細かいところまで描きこんであるなあ。大人にクリスマスカード代わりに贈るのによさそう。

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2008.12.15 Monday * 23:46 | クリスマスの絵本 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『ジョーカー・ゲーム』柳広司
評価:
柳 広司
角川グループパブリッシング
¥ 1,575
(2008-08-29)
 ――スパイとは、見えない存在だ。

 昭和の初め、帝国陸軍内で“魔王”の異名を持つ元諜報活動員・結城中佐によって設立された諜報活動要員養成所“D機関”を中心に、ここに集まった精鋭のスパイ候補生たちと、彼らの諜報劇が描かれています。彼らを統べる結城中佐の存在感が圧倒的。悪魔的な頭脳と、どこまで先を読んでいるのが見当もつかない手の打ち方。裏をかきあう心理的攻防戦と、最後の最後まで真相を読ませない本格ミステリの面白さが巧く混交した作品でした。
 「スパイは、なにものにもとらわれてはならない」――それがどれほど孤独なことか。巧妙な企みや、数ヶ国語を操りずば抜けた記憶力を持つスパイたちの能力が面白いだけではなく、スパイであるというのはどういうことなのかという、人としての有様を問う部分もあって、連作短編集で積み重ねてきたエピソードの数々が、最後の話のラストシーンでなんともいえない哀れを催しました。是非、続編も書いて欲しい。

■ジョーカー・ゲーム
 陸軍中尉の佐久間は、秘密裏に設立されたばかりの“D機関”への出向を命じられる。“D機関”を監視し、ミスがあれば即報告、なければミスを捏造することも含めた命令であった。採用試験から立ち会った佐久間は、そこで驚くべき異能の才を持った受験生達を目の当たりにする……。

■幽霊
 洋品店店員に扮した蒲生は、英国総領事のチェスの相手として公邸に出入りしていた。任務は、総領事に掛けられたスパイ容疑の正否を明らかにすることだった。抗日テロによる記念式典での爆破テロ計画があるというのだが……。

■ロビンソン
 イギリスで目も当てられない失態が起こった。赴任していた伊沢はロンドンでスパイ容疑で逮捕されたが、“D機関”で叩き込まれた「死ぬな殺すな」という教えを守り、なんとしても生きて国へ情報を送らなくてはならない。敵の手に落ちた絶体絶命の状況の中、相手側から二重スパイになるよう持ちかけられる……。

■魔都
 元特攻の陸軍軍人・本間は、上海に配属されて三ヶ月になる。直属の上司・及川大尉から、部内にいるらしい敵の内通者を探り出すよう命じられ、その矢先に及川大尉の屋敷が爆破される……。

■XX
 日本で派手な生活を送りながら、ドイツとソ連の二重スパイ活動を行っていたドイツ人が死んだ。“D機関”の飛崎が扱っていた男だった。ターゲットを死なせてしまったのは大きな失態だが、飛崎がぴったりとマークしていた中で誰がどうやって殺したのか、他の“D機関”メンバーに協力を要請して調査することになり……。

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2008.12.14 Sunday * 03:55 | 国内ミステリ | comments(0) | trackbacks(0)
* 『本格ミステリベスト10 2009』
評価:
探偵小説研究会
原書房
¥ 893
(2008-12-02)
 いつも「このミス」と時を同じくして発行される「本ミス」。広義のミステリよりも本格ミステリが好きなので、こちらのランキングを見るほうが楽しみだし参考にしています。ああでもやっぱり既読本は少ないですねー。国内編ベスト10のうち読んでいるのは2冊。ベスト20だと、うち読んでいるのは6冊であります。ちなみに「このミス」国内編ベスト10では既読は2冊。ベスト20でも同じく2冊でした。やっぱり「本ミス」に挙がってくる物のほうが好みなんだな。
 他誌でも同じだったけど、今年は「これだ!」っていう圧倒的な票を集めるような本がありませんでしたね。今年の顔ともいうべき本が。
 「本ミス」は、読みでがあって楽しい。コミックやライトノベルまでも網羅する、本格ミステリに関するさまざまな記事があって。座談会も面白いし。今回の特集ミステリ映画についても、知らないタイトルや興味を惹かれるものがあったので、今度レンタルして見てみようと思いました。

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2008.12.14 Sunday * 01:37 | 国内ミステリ | comments(0) | trackbacks(0)

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