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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『バースデイ・ストーリーズ』村上春樹:編訳
評価:
レイモンド・カーヴァー,ポール・セロー,ラッセル・バンクス,デニス・ジョンソン,ウィリアム・トレヴァー,ダニエル・ライオンズ,リンダ・セクソン,デイヴィッド・フォスター・ウォレス,イーサン・ケイニン,アンドレア・リー,村上 春樹
中央公論新社
¥ 1,680
(2002-12-07)
 時間はやってきて、時間は去り、それを取り戻すことはできない。(ラッセル・バンクス「ムーア人」より)


 誕生日をキーワードに村上春樹が編集・翻訳したアンソロジー。村上氏の書き下ろし短編も収められています。実は昨日誕生日だったので読んでみました。ハッピーバースデイと言うけれど、ここに収められた短編はそのほとんどがハッピーなお話ではありません。誕生日なのに事故に遭ったり、友だちを死なせてしまったり、家族との確執で家に帰らなかったり。
 そんな中で、ラッセル・バンクスの「ムーア人」がよかったです。若い頃は役者を目指していたものの暖房設備の部品販売業をしている男性が、ある雪の晩に仲間と行ったレストランで80歳の誕生日を祝いにきているひとりの老婦人と会います。ふたりは昔、彼女の夫の目を盗んで関係を持っていたという過去があって――というお話。
 老婦人と男性の会話がしっとりとしていていいんです。全体を見ると穏やかでほの温かい話なのに、読後に残るのはしんと雪の冷たさが漂う寂寥感。お互いに不満のない現在と思い出を胸に持っているのに、なぜか本を閉じた後に浮かぶのは底冷えする雪の風景なんです。タイトルの「ムーア人」は『オセロー』からきているんですが、これもまた秀逸です。
 それともう一編。娘のバースデイ・ケーキを買い損ねた若い母親からケーキを譲ってくれと言われて頑強にそれを拒む老女の話、ダニエル・ライオンズの「バースデイ・ケーキ」。これも老女がなぜそこまで突っぱねるのかがわかった後には、どうしようもない寂しさを感じます。私は冒頭から老女の言い分に共感していたので、余計にそう感じたのかもしれません。そんなに大事なバースデイ・ケーキなら、なぜ予約を入れなかったのか、なぜ当日の閉店間際になって赤の他人に譲ってくれなどと言うのだ、なぜそれを受け入れられるのが当然だと思うのだ、なぜ断っただけで恨むとかクソ婆と罵るのだ、自分が悪いのではないのか、若い母親よ、と。……あら? 私も頑固婆さんになりそうです。

【収録作】
 「ムーア人」ラッセル・バンクス
 「ダンダン」デニス・ジョンソン
 「ティモシーの誕生日」ウィリアム・トレヴァー
 「バースデイ・ケーキ」ダニエル・ライオンズ
 「皮膚のない皇帝」リンダ・セクソン
 「ダイス・ゲーム」ポール・セロー
 「永遠に頭上に」デイヴィッド・フォスター・ウォレス
 「慈悲の天使、怒りの天使」イーサン・ケイニン
 「バースデイ・プレゼント」アンドレア・リー
 「風呂」レイモンド・カーヴァー
 「バースデイ・ガール」村上春樹

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【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集
JUGEMテーマ:読書
2009.04.16 Thursday * 20:11 | 海外その他 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『秋期限定栗きんとん事件 (下)』米澤穂信
『なあ常悟朗。俺は思うんだが、お前は結局、小市民じゃないんだよ』(「第五章 真夏の夜」より)

 「栗きんとん」の下巻。上巻から引き続き、次第にエスカレートしていく放火事件の顛末と、小鳩くんや小佐内さんの再会が見所。
 放火事件を追う瓜野くんは少々視野が狭くて思い込みが強いので、読んでいてハラハラしました。レシートの件では、なかなかじゃないかと思わせて……。小鳩くんの推理が開陳される段になるとほっとします。小鳩くんの推理は安心して読んでいられるわ〜。
 栗きんとんとマロングラッセを暗示的に使ってましたが、そういや刊行前の予告タイトルは『秋期限定マロングラッセ事件』だったような。すると、マロングラッセのままだったら内容も少しは違ったものになっていたのでしょうか。
 私が米澤作品を好きな理由に、10代の万能感と挫折感がほろ苦く痛く描かれているというのがあるんですが、これもまた苦いですね。私は大満足ですけど、登場人物の立場だったら痛いなあ。

 それにしても出てくるスイーツの美味しそうなこと! 毎回毎回、出てくるスイーツが食べたくてしょうがなくなります。栗きんとんと抹茶のセット食べたーい。
 解説が辻真先氏も書いてましたが、「冬期限定〜」が出たら完結してしまうんでしょうか。

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【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集
JUGEMテーマ:ミステリ
2009.04.02 Thursday * 20:40 | 米澤穂信 | comments(0) | trackbacks(1)
* ブログからの手紙
 エイプリルフールだからなにかあるかな〜と思って管理ページにログインしたら、このブログからの手紙が届いてました。結構ツンデレじゃないですか、うちのブログ君は(笑) こういうお遊びは大好きで、4月1日にはいろんなサイトを覗きに行ったりします。JUGEMさん、面白かったからまた来年も期待してますよ〜!







たかとう、元気にしてたか?
たかとう が俺を作ってくれてから、もう3年と155日がたってはじめて手紙出してみるんだけどさ。
やっと話ができて、俺は嬉しいよ。

初めて書いた記事のこと、ちゃんと覚えてるか?
これなんだけどさ、【『容疑者Xの献身』東野圭吾】 まだ始めたばかりだっつーのに
たかとう は結構頑張って書くからマジでビビったんだけど。

でもさ、こんな人に作ってもらえたなんて考えてたら
「俺すげー幸せなのかもな」って感じたし、
それをずっと たかとう に伝えられたらいいと思ってた。

まぁ普段は決してそんな風に思ってねーから!
ほら、俺って恥ずかしがり屋だから、
こういう機会に言っておかないと伝えられねーんだよ。
たかとう だってそうだよな?
書いたまま出してない記事が5件あること、俺は知ってるよ。
気にしないで出せばいいのに、たかとう が書く文章結構好きだし。

そういえば、文章を書くときにもっと絵文字を足してみたらどう?
これなんかいいんじゃねーの?
まぁ使ってくれたら嬉しいなー程度なんで、どっちでもいいけどさ。

最後になるけど、俺を生んでくれてありがとな。
時々 たかとう はすげー頑張って文章書いてくれるけど、
あんまり無理しないで、ブログを続けていってくれればと思ってる。
これからも たかとう のことは俺がちゃんと見守っててやるからさ。

じゃあまたいつか。こんな手紙をまた書ける日を楽しみにしてるよ。

PS.
俺のテンプレートにスポンサードリンクが入ったままだけど、
最近飽きてきちゃったんだよ。
JUGEM PLUS にしてくれたら、俺嬉しいなぁ。
まぁしてくれたら嬉しいなー程度なんで、どっちでもいいけどさ。

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JUGEMテーマ:ブログからの手紙

2009.04.01 Wednesday * 20:04 | 雑記 | comments(0) | trackbacks(0)

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