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評価:
初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,680
(2009-10-02)
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ぼくたちにとって春の幻なんだよ
は? まぼろし?
ああ。ずっと居てほしいという願いもむなしく、儚い夢に終わってしまう(「スプリングフラフィ」より)
前作
『退出ゲーム』の続編で今回もシリーズの連作短編集です。四つの収録作の中では、ローカルFM局の話が出てくる「周波数は77.4MHz」が好きかな。「7・7・4」で「名無し」ってことでしょうか。「アスモデウスの視線」ではゴリラ…もとい、大河原先生の行動が気持ちはわかるけど納得がいかなかったなあ。「初恋ソムリエ」には宮沢賢治が出てきますが、昔語りと賢治の詩が重なり合って雰囲気が出てます。今回もまたラストに重ための話を持ってきて前半の軽さとのバランスをとっている構成。じわじわ増えてくる部員に普門館の予選大会への期待も高まってきましたねえ。
■「スプリングフラフィ」
春休み初日から音楽室の鍵がない日が何日かあった。先に誰かがきているのかと思って音楽室に向かうと、鍵がかかって入れない。職員室に戻ると鍵が戻っている。いったい誰の仕業なのか……。
■「周波数は77.4MHz」
人知れず放送されているローカルFM局のFMはごろも。七賢者と呼ばれるお年寄りたちによる人生相談のコーナーを、チカは試験勉強の合い間にこっそり聴いている。そんなある日、生徒会長の日野原に部費との交換条件で、地学研究会の部長を連れてくるように申し渡される……。
■「アスモデウスの視線」
吹奏楽部の顧問・草壁先生が過労で倒れた。四月から休み返上で働き続けてきた先生だが、他校である藤が咲高校の吹奏楽部の世話もしていたことが大きな原因かもしれない。藤が咲高校吹奏楽部の顧問・大河原が自宅謹慎になってしまったせいだというが、そもそもなぜ大河原が謹慎処分になったのか誰も知らない。チカやハルタらはその原因を究明することになり……。
■「初恋ソムリエ」
吹奏楽部と知り合いのクラリネット奏者・芹澤が、伯母が「初恋ソムリエ」を名乗る初恋研究会部長の朝霧に騙されているのではないかと相談にやってきた。朝霧は、初恋を再現することが出来るといって伯母さんを呼び出したようだが……。
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