|
評価:
菅野 文
白泉社
¥ 410
(2007-01-19)
|
ドラマにもなっているので広く知られているかと思います。
格好良くて成績も優秀、剣道などの武芸にも秀でて周囲からは男の中の男と一目置かれている高校生・正宗飛鳥。実は彼は可愛いものが大好きで、料理裁縫が趣味の乙女趣味の男の子(オトメン)だった。しかし、飛鳥が幼い頃に父親が「女になりたい」といって家を出たため、母親は飛鳥に男らしさを求め、飛鳥は本来の自分を周囲に隠して生活している。
この飛鳥のお母さんてのが、飛鳥の父親が家を出たときにショックで倒れ、依頼そのことに触れたり、思い出したりするだけで、強いストレスを感じて倒れてしまうという、やっかいな設定なんですよね。そのため飛鳥は母親はもちろん、母親の耳に入る可能性のある学内(母親が学園の理事長なので)でも常に男らしく振舞っています。でも、これ、見ている分にはお母さん実はそんなに倒れるほどでもないんじゃ?って気がします。ちょっと飛鳥に甘えてるところもあるんじゃないかなあ。わざとやってるようにも見えるし。そこは追い追いお父さん登場とあわせて明らかになるんだろうと思います。
オトメンとはいえ、女になりたいわけじゃなく可愛いものが好きなだけのれっきとした男の子である飛鳥が、都塚りょうという女生徒と出会い、可憐な容姿とは裏腹に男らしい内面と嗜好を持っている彼女に恋をして……というあたりを中心に話は進んでいきます。
でもラブ要素よりも、メインテーマは「自分らしくあること」でしょう。
都塚さんを好きになったことでありのままの自分を好きになって欲しい、本来の自分を受け入れて欲しいと思う飛鳥や、幸花ジュエルという女性名で少女漫画を描いている飛鳥の友人・橘充太、剣道において飛鳥のライバルであり実はすごいメイクアップ技術を持っている多武峰一(とうのみねはじめ)、なによりも花を愛する黒川樹虎(くろかわきとら)など登場人物たちがなにかしら人に言えない趣味や嗜好を持っています。
そんな中で、自分をまったく隠さずに真っ直ぐ生きている都塚さんが実に男前。彼女と接することで今後飛鳥が自分らしさをどこまで出すか、どうやって母親や周囲に本来の自分を受け入れてもらうかが読みどころだと思っています。そこには当然、飛鳥の父親が大きく係わってくることだろうし。私が読んだ9巻までにもちらほら父親の影も見えてますねえ。
個人的には、橘充太が憧れている少女漫画家の城之内ミラ先生が好きです(笑)
【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集