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2011.01.19 Wednesday * | - | - | -
* 『桜嵐恋絵巻』深山くのえ
「そなた、鬼なのか?」
「……世間では、そう言っております」
「世間じゃなくて、俺はそなたに訊いてるんだが」(本分より)

 平安ものが読みたくなって手に取ったシリーズ。二条中納言の娘・詞子(ことこ)は鬼を呼ぶ姫と皆から疎まれ、十六歳の時に荒れ放題で人気の無い白川の別邸へと移ります。ある時美しい桜に惹かれて庭に降りた詞子は偶然通りかかった左大臣の嫡子・源雅遠(みなもとのまさとお)に姿を見られてしまうのですが、詞子の可憐さに心惹かれた雅遠はそれから詞子のもとへ通うようになり……と書くと、最初っからふたりのラブストーリーが始まるように見えますが、そこは鬼姫と噂の詞子と、歌が苦手で風情や風流とはほど遠い、よく言えば率直で現実的、悪く言えば粗野な雅遠のふたりなので、なかなかこれが題名どおりの恋絵巻になりません。この巻ではまずはお互いの気持ちを自覚するところまで。ゆっくり育んでいけばよいとは思うものの、詞子の父・中納言は右大臣派で雅遠の父は右大臣と対立している左大臣。鬼姫だなんだという噂と、ふたりの立場の両方が今後恋の障害になってきそうです。
 この巻では鬼騒動と陵王面の紛失という事件があるものの、ちょっと内容が薄い印象を受けてしまったなあ。

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2010.05.15 Saturday * 00:55 | ライトノベル | comments(0) | trackbacks(0)
* 『裏切りは僕の名前を知っている(1)〜(7)』小田切ほたる
 1巻から最新刊の7巻までの感想をコンパクトに。
 養護施設で育った桜井夕月(ユキ)の元に、腹違いの兄だと名乗る男・祇王天白(ぎおうたかしろ)がやってくるところから物語は始まります。夕月を引き取ろうとする天白に少し考えさせて欲しいという夕月。特殊な能力を持つ祇王一族の人間である夕月は魔物に狙われ、やがて『戒めの手(ツヴァイルト)』と共に『悪魔(デュラス)』と戦うことを決意し――。
 夕月は前世で「戒めの手」たちと共に悪魔と対峙してきた祇王一族の姫で、ルカ=クロスゼリア(通称ゼス)という上級悪魔と恋人同士だったのですが、1巻の冒頭でルカに頼んでいたことが6〜7巻あたりの天白から聞かされる話と同じく6〜7巻に出てくるルカの一連のシーンに繋がってきます。ルカがことあるごとに夕月に言う「俺はおまえを裏切らない」という言葉は、ある裏切りを背景にしているのだとすれば、ルカが自分と夕月が前世で恋人同士だった事実を夕月に告げないのも、夕月が前世の記憶をとり戻すことをどこか恐れている様子なのもなるほどわかります。でも夕月はそんなルカを許すだろうし、そもそも夕月が転生するにあたってルカの記憶を失くしてしまったことも、前世と違って男として生まれてきたことも、ルカや仲間たちを守りたい、共に戦いたいという強い気持ちからきたんじゃないかと思うんだけどなあ。7巻まできてもちっともお互いのことを訊かないし、理解を深めない夕月とルカがじれったいです。
 登場人物も多いし、話の進み具合がもうちょっと早くなるといいなあ。その分「戒めの手」同士のいちゃいちゃエピソードを抑えていいから。

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2010.05.15 Saturday * 00:31 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『Nのために』湊かなえ
評価:
湊 かなえ
東京創元社
¥ 1,470
(2010-01-27)

 その人のためなら自分を犠牲にしてもかまわない。その人のためならどんな嘘でもつける。その人のためなら何でもできる。その人のためなら殺人者にもなれる。
 みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた。(第一章より)

 『告白』『少女』『贖罪』に続く四作目。これで著者の既刊本はすべて読んだことになるかな。
 裕福な暮らしをしている野口夫妻とダイビングで知り合った、就職も決まり大学卒業を控えた安藤と女子大生の杉下。安藤と杉下は同じボロアパートに住んでいて、台風による床上浸水がきっかけで西崎という作家志望の青年とも親しくなった。ある時、食事に招待された野口夫妻の高級マンションで夫妻が亡くなる事件が起こるのだが……。
 タイトルを見ると「N」が誰なのか、誰が「N」のためになにをしたのかに興味を惹かれたのですが、読んでみると主要登場人物すべてに「N」のイニシャルがついていて、みんなそれぞれがそれぞれの「N」のために動いていました。
 杉下希美、安藤望、西崎真人、成瀬慎司らの複数の視点で物語は描かれています。ひとつの真相に向かって話が収束するのではなく、登場人物の数だけの真相が語られていく。みんな「N」のために動いているのに、そのベクトルはひとつも向かい合わずに一方通行です。湊さんはいつも作品の中に痛みの部分があると思うのですが、この作品においての痛みは、彼らの交わることのないベクトルでしょうか。

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2010.05.08 Saturday * 03:54 | 国内ミステリ | comments(0) | trackbacks(1)
* 『flat(3)』青桐ナツ
評価:
青桐ナツ
マッグガーデン
¥ 600
(2010-01-09)

 3巻目は学祭の話がメインかと思いきや、平介のことを嫌いだと絡んでくる生真面目な後輩君が登場してきました。秋君と平介の話が続くのはいいんだけれど、人の性格というのはそう簡単に変わるものではないので、じりじりとしたふたりのやりとりは下手をするとマンネリに陥っちゃうなあと思っていたところに、この後輩君。彼が出たことで、平介と平介を取り巻く人間達の様子を第三者目線で見ることが出来ました。鈴木と佐藤を見ていると、私も平介は羨ましい奴だと思います。いい友達を持ったよ、平介は。本人なにもしていなさそうなのに(笑)
 後輩君のことで、佐藤が平介に「なにかあったら呼んでね。俺の拳はまだ死んでないからさ!」というところがありました。そうか、狂犬の拳は死んでないのか(笑) いつかその鉄拳を見ることが出来るでしょうか。というか、いつか平介が佐藤や鈴木のために奔走する姿を見てみたいです。
 今まで感想の上ではスルーしちゃってたけど、平介のことを好きな後輩の女の子・長谷さんてなかなかいいキャラだと思うので、これからもちょこちょこ話しに絡んできてくれるといいな。

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2010.05.07 Friday * 20:33 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『flat(2)』青桐ナツ
評価:
青桐 ナツ
マッグガーデン
¥ 600
(2009-05-09)

 今回は秋君と平介よりも、平介の友人・佐藤と鈴木がよかったです。鈴木はなんだかんだいいながらも平介の面倒を見ているし、人から平介のことを言われるとムッとするイイ奴。佐藤は狂犬(?)という驚きの過去がありながらも明るく人好きのするイイ奴。平介がふらっといなくなって鈴木と佐藤が探し回っているのを見て、この狂犬の話題がクラスメートの口から冗談として出た時の佐藤の反応がよかったな。
 鈴木と平介の出会いは中学時代で、それはそれでとても彼ららしいエピソードでしたが、そんなふたりと高校に入ってから知り合った佐藤の話が印象的でした。桜の下で桜餅のことを話している鈴木と平介の平和な会話に、佐藤はいったいなにを思ったのでしょう。自分のほしい分だけ相手から返してもらえるわけじゃないと言いながら、鈴木や平介と一緒にいる佐藤は、中学時代よりも幸せかな? いや、彼の中学時代が不幸だったわけじゃないだろうけど。鈴木と平介の会話に和んでいる彼を見ると、結構シンドイこともあったのかなと思ったして、それでこのエピソードが印象に残っているのかもしれません。
 登場人物の中では、密かにちょいワルな女の先輩が好きです。「じじせん」と呼ばれている矢野先生も面白い。

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2010.05.07 Friday * 20:10 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
* 『flat(1)』青桐ナツ
評価:
青桐 ナツ
マッグガーデン
¥ 600
(2008-09-10)

 超マイペースな高校生の平介。ある日、叔母から預かることになった従兄弟の秋君にすっかり懐かれて……というお話。この秋君という子が、まだ幼児なのにしっかりしていて感情をあまり表に出さず我慢強い男の子で、見ていてもっと自分の思ったことを表に出してもいいのに!とちょっとハラハライライラします。いじらしさに「んもぉぉぉう!」と読んでいてジタバタ。
 子供ってなにがツボに嵌るのかわからないところがあります。秋君が平介のどこをそんなに気に入ったのかも大人の私からするとすんなりとは納得できないんだけど、平介に言葉をかけてもらったり一緒にいてもらったりするだけでパァ〜ッと顔を輝かせるの様子を見ていると、好きって気持ちに理由や原因はいらないかと「どうしてそんなに好きなの?」という疑問が消えていきます。ただ子供って全力で懐いてくるけど、興味が失せたときの引き際も速いからなあ。振り回されているうちに、秋<平介の構図が秋>平介に変わっていったり……することはないか(笑) 平介のマイペースっぷりは筋金入りですから。
 お菓子作りが得意な平介に作ってもらったホットケーキが忘れられない秋君の話があるのですが、私もあんな写真みたいに綺麗で美味しそうなホットケーキは焼けない派なので、秋君のママの気持ちが分かります(笑)

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2010.05.07 Friday * 19:42 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)

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